電力自由化「安い」だけでは勝てない 関電うらやむ大ガスの“取りに行く営業” (1/4ページ)

電力販売をPRするのぼりが掲げられた大阪ガスの「ハグミュージアム」=大阪市西区、今年4月
電力販売をPRするのぼりが掲げられた大阪ガスの「ハグミュージアム」=大阪市西区、今年4月【拡大】

  • 電力自由化に向けて増設された大阪ガスのコールセンター=大阪市西区のドームシティガスビル、今年2月(宮沢宗士郎撮影)

 4月の電力小売り全面自由化に伴い、関西で「新電力」として新規参入した大阪ガスの家庭向け電力販売が堅調に推移している。7月下旬に契約が約17万件に達し、初年度の目標とする20万件の達成は確実とみられる。その営業力の強さの秘訣(ひけつ)は、「町のガス屋さん」の愛称で親しまれている同社のサービスショップの存在だ。現在、関西に約200店舗あり、日ごろ付き合いのある顧客の自宅まで自ら足を運ぶ、能動的な「取りに行く」営業が功を奏している。(中山玲子)

 電話1本で駆けつけます…

 「先日も、水回りでトラブルがあったから谷口さんの携帯に電話したんです。困ったことがあれば何でも相談します」

 大阪府富田林市の50代主婦にとって、“谷口さん”は自身の日常生活に欠かせない「心強い存在」のようだ。その谷口さんとは、大阪狭山市や富田林市などのエリアを対象に大ガスのサービスショップを運営する「サンク」(堺市南区)の谷口彰常務取締役のことである。

 この主婦と谷口常務の“ビジネス関係”はもう15年になるという。谷口常務は床暖房設置やガスコンロのリースなど本来の仕事だけでなく、季節ごとのあいさつでも家庭訪問する。さらに水回りなど住まいに関するトラブルが発生すれば電話1本で駆けつける。「その日のうちに来てくれる」(主婦)頼りになる存在という。

大阪ガスサービスショップは関西に約200店舗あり、営業マンは数千人にのぼる