国管理空港としては初めて、7月から民間に運営委託される仙台空港。公共インフラの運営を民間に任せることは、政府が掲げる成長戦略の柱の一つであり、企業にとっては成長市場への足がかりともなる。国の方針や海外の動向などをQ&A形式でまとめた。
--政府が空港の民間委託を進める狙いは
「赤字の空港本体と高収益のターミナルビルなどを一体経営することで、ニーズに合わせた着陸料の柔軟な設定を可能にし、路線網の拡大へつなげる狙いがある。もともとは2010年に旧民主党政権が打ち出した政策だ。安倍政権では上下水道や有料道路など19分野で計2兆~3兆円の民間委託を目指す」
--関西国際空港と伊丹空港も4月に民営化された
「両空港は国出資会社が管理していたが、フランスの空港運営大手バンシ・エアポートとオリックスなどの企業連合に44年契約で委託された。建設費など1兆2000億円に上る債務を返済するためだ。神戸空港も加え関西3空港を一体運営することも模索されている」
--仙台空港の次は
「国土交通省は全国19カ所の国管理空港のうち新千歳や広島、高松などの運営権売却を検討している。19年度には福岡を民営化し、売却益を2本目の滑走路建設に充てる計画だ」
--企業側のメリットは
「空港は本業の着陸料収入のほか不動産や商業施設などから得られる収益が大きい。海外では、自国で培った運営ノウハウを国外に売り込む企業が多い」
--ビジネスの成長性は
「世界の航空旅客数は34年に70億人へ倍増するとみられ、その4割を占めるアジア太平洋地域の空港ビジネスは市場規模が800億ドル(約8.2兆円)超との試算もある。日本が海外で空港の運営ビジネスに食い込むには官民一体の取り組みが必要だ」