大手企業にとって、空港運営の民営化は新たな収益源となる。仙台空港はその試金石とみられている。民間の知恵をフル活用すれば「顧客目線の空港」(仙台国際空港の金子次郎管理部長)が実現でき、地域も空港も企業も潤う。国が管理していた空港の民間委託が今後、全国で相次ぐと予想され、参入に意欲を見せる企業が増えそうだ。
仙台空港の運営には東京急行電鉄や東急不動産など7社が参加する。東急電鉄は東京・横浜を地盤とする大手私鉄。グループで培った渋谷や銀座の町づくりの経験を生かし仙台空港を活性化させ、国内外に事業を拡大する象徴的な案件にする方針だ。
担当者は「鉄道の定時運行や設備管理のノウハウは空港運営に生かせる」と説明する。
鉄道では終電が遅延した場合、接続する他社に速やかに連絡し、発車を遅らせ乗客が乗り継げるようにする。空港周辺の鉄道などともこうした連携を強化し、快適な移動を提供する考えだ。東北各地へのバスや電車のチケットを機内で販売することも構想、旅行者の時間を節約する。