仙台空港(宮城県)の滑走路などの運営権が7月1日に民間会社に移り、国の管理空港として初めて民営化する。4月には民間会社による関西、大阪両空港の運営もスタートするなど、空港民営化の動きは各地に広がりつつある。企業の経営ノウハウを生かし、積極的な航空路線の誘致や、集客力のある商業施設の整備など経済成長のエンジンとして空港の役割に期待が高まっている。
LCCなど積極誘致
民主党政権下の2010年、政府は新たな成長戦略の一環として空港の民営化を打ち出した。黒字が多いターミナルビルなど空港関連企業と大半が赤字の空港本体との経営一体化により、着陸料を引き下げ、路線網の拡大につなげる狙いだ。具体的な民営化の手法として、政府は13年に施行した民活空港運営法で、国など公的機関が施設を保有したまま、運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」を導入できるようにした。
仙台空港は、東京急行電鉄など7社が設立した新会社「仙台国際空港」が30年間の運営権を22億円で取得。第三セクターから譲渡された空港ビルとともに、7月から滑走路などの施設と一体で運営する。同空港を運営する新会社「仙台国際空港」は、約30年後までに年間旅客数を1.8倍の550万人、貨物取扱量を4倍の2万5000トンにそれぞれ引き上げる目標を掲げる。宮城県や地元経済界は、観光客増加や特産品の輸出拡大で、東日本大震災からの復興が加速すると期待している。