三菱重工業は10日、都内で事業戦略説明会を開催した。大型客船の建造で多額損失を計上している商船事業について、交通・輸送ドメイン長を務める鯨井洋一副社長は「エネルギー船と官公庁船、貨客船を伸ばす方向で検討している」と述べた。
造船業界をめぐっては、高齢船の代替として貨客船需要が見込まれており、鯨井副社長は「(貨客船を新たに)年間2、3隻受注し、1000億円に届くレベルの事業規模とし、客船事業を補完したい」と語った。三菱重工は大型客船の建造で累計2375億円の損失を計上。現在、社内の評価委員会で事業撤退も含めた検討を行っており、秋までに方向性を出すとしている。
一方、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」について、鯨井副社長は「今夏から米国で飛行試験を始める」と述べ、日米3拠点で開発を加速させる意向を示した。