スズキの鈴木修会長がCEO職の返上を決めた。燃費測定の不正問題が契機となり、鈴木会長の“ワンマン”態勢から、会長引退後の「集団指導体制」を見据えた改革へ背中を押された格好だ。ただ、鈴木氏は代表権を持つ会長にとどまり、社内での影響力は行使される。鈴木会長に頼り切った経営から脱却し、新たな体制に移行できるかが焦点となる。
「組織が大きくなって、私自身が1人で経営を見ることは不可能になった」。鈴木会長は8日の記者会見でCEOを退く理由をこう述べた。鈴木会長は、1978年からほぼ一貫して経営トップを務め、強力なリーダーシップでスズキを世界10位の自動車メーカーに育てた。しかし、企業規模が大きくなるにつれて、会長1人で全ての業務に目を配ることが難しくなり、「結果的に燃費不正問題が出たのもその現れ」(鈴木会長)と認めた。
鈴木会長の後任のCEOは8人の取締役から選ばれる見通し。鈴木会長は今後の経営判断について、新CEOの決定に従うと説明した。ただ、新たな経営体制の確立に向けては課題も山積する。一つが不正問題で毀損(きそん)したブランドの回復だ。