【変わる携帯料金】(上)アップルのノルマ、重い足かせ
政府主導で進めてきた携帯電話の料金引き下げが、2016年にも実現する。NTTドコモなど携帯大手3社は、スマートフォン端末「実質0円」の元手となる過度な販売奨励金を縮小する方針を固めるとともに、割安な料金プランの導入も検討する。3社の寡占状態を背景にした販売競争のゆがみを改善し、透明性や公平性を根付かせることができるか。
暮れのボーナス商戦でにぎわう今月20日。東京都新宿区のソフトバンク代理店の従業員は、苦笑交じりにこう説明した。
「ソフトバンクも国には逆らいたくないようだ」
携帯電話の成約時に、ソフトバンクから同店に支払われる販売奨励金は、前週に比べ1割減った。総務省が18日、携帯電話料金の引き下げを携帯大手各社に指示したためだ。
一方、港区にある別のソフトバンク代理店は、少しでも契約を増やそうと「『最後』のキャッシュバック(現金還元)セール」を掲げた。高止まりしていた携帯料金に官のメスが入り、販売の現場では自粛ムードと“駆け込み需要”を狙う動きが入り交じる。