《マリから届いた感謝の気持ち》
マリからは、これまでの支援活動に対する感謝の言葉や気持ちがたくさん届いているという。「毎年、マリ大使館やユニセフから感謝の言葉をいただいています。震災後の2012年にマリを訪れたときは、被災地の復興を願うタペストリーを託してくれました。井戸にも日本への感謝のプレートが取り付けてあります。支援を通して両国の間に絆が生まれているのです」
《継続は力なり》
ボルヴィックがここまでの実績を積み重ね、マリの生活の改善に大きく貢献できている要因はなんだろうか。まず根幹にあるのは、プログラムを9年間にわたって継続していることだという。活動を続けてきたからこその実績なのだ。
「キャンペーンに取り組む国は他にもありましたが、現在も続いているのは本国フランスと日本しかありません。特に9年前の日本はまだまだボランティア活動が根付いておらず、それが『1L for 10L』が始まったきっかけでもありました。他に気軽に参加できる支援活動が少なかったことが、共感を得て長続きしている理由だと思います」
プログラムを途切れさせることなく支援を続けていることは、日本人として誇れることなのだ。
しかし、なぜここまで継続できたのか。まずは「日本は社会活動に対して反応が返ってくるので、やっている意味を実感できることが大きい」という。木村氏によると、支援内容と事業内容が直結していることも関係があるという。「支援活動が、水をベースに商品を作る自分たちの事業の延長にあるので、社員も共感しやすいのだと思います。本業に近ければ、会社全体で意識を持って長く活動できます」。決して肩肘張ることなく、事業領域から逸脱せずに地道に歩んできたことが長続きしている秘訣のようだ。
《10年目に向けた抱負》
さて、来年は節目となる10年目を迎える。木村氏としても、やはり格別の思いがあるようだ。「ここまで続いたことは担当者として正直に嬉しいですし、支援活動に共感していただいた方々に感謝しています。これからも応援してくださいという気持ちと、引き続き世界の水問題を考えてもらうために、丁寧に活動することは変わりません」。
木村氏は言う。「ボルヴィックを通じて身近にあるものに関心を持っていただければ十分なんです。『1L for 10L』をきっかけに“何かの役に立ちたい”と感じていただければ嬉しいですし、日本の人に少しでも水のことを考えてもらえれば、実はそれで満足なんです」
「1L for 10L」の最初のポスターに登場した男の子は、いまでは立派な青年になっているそうだ。今後もボルヴィックの活動が日本に浸透することで、マリにもっとたくさんの幸せが広がるだろう。
「できることを焦らずにやっていきます」-。子どもたちの涙を綺麗な水と笑顔に変える活動はまだまだ続く。(提供:キリンビバレッジ)