キリンビールの布施孝之社長は16日、フジサンケイビジネスアイの取材に応じ、主力のビール「一番搾り」について、製造した工場ごとに味わいや個性が異なる地域限定商品を年内に再投入することを明らかにした。5、6月に限定発売したところ、販売実績は当初計画に対して3倍の60万ケース(1ケースは大瓶20本換算)にのぼったうえ、通常商品への影響もほとんどなかったことから、販売の上積みが期待できると判断した。
キリンは今年上期(1~6月期)の発泡酒と第3のビールを含めたビール類の課税出荷数量が大手5社の中で唯一、前年同期の実績を上回り、シェアも6年ぶりに上昇した。要因について布施社長は「昨年から取り組んできた一番搾りに特化する戦略が実った」と述べた。
年間でも6年ぶりとなるシェアの拡大を目指すが、サントリービールが1986年から販売してきたビール「モルツ」を終了し、新たに麦芽100%の「ザ・モルツ」を9月に一番搾りと同価格帯で投入するなど、顧客争奪戦の一段の激化は避けられない。