建築コストについても、業界内では「下がるとはみていない」(旭化成ホームズの川畑文俊取締役)と厳しい事業環境が続く見通しだ。
長期的な視点に立った場合、さらに事態は深刻だ。大工やとび職といった建設技能労働者は、55歳以上の比率が他産業と比べても急速に高まっている。建設業界は高年齢層の労働力に支えられている状況で、ロボットスーツなどによる作業効率化は有効だ。だが、こうした世代の労働者はこれから大量に退職する。
総務省の労働力調査によると、14年の建設業就業者数は505万人でピーク時に当たる1997年から3割近く減少した。建設経済研究所は、このまま若者が建設業界を敬遠する状況が続き、高齢者の退職も増えれば、2025年には就業者数が241万人と、さらに半分近くになるというシミュレーションを出している。
こうした事態を回避するには、作業の効率性を高めるなど労働環境の改善に力を入れ、人材が流入しやすくすることが前提条件。その意味でも、ロボットの導入をはじめとした現場施工の軽減化をめぐる動きは一段と活発化しそうだ。(伊藤俊祐)