--そのための課題は
「これは日本の宇宙産業全体にいえることだが、これまではほとんど国内でビジネスを行い、国家予算の中で仕事をしていた。国の予算が厳しい中、今後の成長には海外からの受注で売り上げを伸ばしていかなければならないと考えている」
--鍵を握るのは
「例えば当社が強みを持つ衛星の分野では、これまでの大型で高額、高級なものから小型で低コストな衛星へと流れがシフトしている。今まで独自の衛星を持たなかった新興国も自分たちの衛星を持ちたいと考えている。そこで大事なのは何といってもコスト。その観点からすれば(低コストの)民生品を活用する技術を持っており、国際的にも競争力がある」
--はやぶさ2への期待は
「先ほどもいったように、日本の宇宙事業はほとんどが国の予算。初代はやぶさはいろいろとトラブルはあったが、最終的に国民が理解をし、後押ししてくれた。それがはやぶさ2につながった。はやぶさ2もしっかり成功させて『こんなことが分かったんだ』と言われる、世界に冠たる成果を示してほしい。それが日本の宇宙産業全体を押し上げることにつながる」
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【プロフィル】石井潔
いしい・きよし 東大卒。1977年石川島播磨重工業(現IHI)に入社。航空宇宙事業本部副本部長などを経て、2008年アイ・エイチ・アイ・エアロスペース(現IHIエアロスペース)社長。12年6月から現職。62歳。埼玉県出身。
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