東京電力が東日本大震災後に控えていた海外投資を加速させている。25日にカタールで中東最大級の火力発電所建設を三菱商事と受注したと発表。今月の海外事業関連の公表は計3件に上る。2016年4月からの電力小売り全面自由化で顧客争奪戦の激化が見込まれるため、海外事業を強化し、収益力を安定させる考えだ。
東電が三菱商事と受注したのは、カタールの首都ドーハ近郊に出力240万キロワットの大型火力発電所を建設、運営する事業。東電は震災後初めて、国際入札を通じて事業を落札した。
海水を淡水化するプラントの建設も受注しており、総事業費は約3000億円。17年に稼働し25年間運営する。事業への出資比率は当初の0.45%から、今秋までに10%程度まで高める方針だ。
東電は国内外で培った技術やノウハウを通じ、経済成長が続くカタールで拡大が見込まれる電力や水の需要を取り込んでいく。
東電は震災後、被災者への賠償、除染、廃炉などに注力し、本格的な海外投資を行っていなかった。しかし昨年、丸紅と共同で、フィリピンの石炭火力発電所を増設する計画を決め、海外投資を再開した。