トヨタ、日産、富士重工業が北米で、マツダと三菱自動車が欧州で販売が好調に推移し、国内の落ち込みを補ったことも大きい。三菱の営業利益がほぼ倍増するなど5社が過去最高益を記録した。
一方で、先行きには不安要素も見え隠れする。一つは国内需要の弱さだ。「改めて厳しさを認識し、販売をてこ入れする必要がある」(マツダの藤本哲也執行役員)との見方が増えている。スズキは「受注残もなくなった。7~9月以降の国内需要は見通しにくい」(長尾正彦常務役員)としており、想定以上に販売が落ち込むことも予想される。
また、各社が強気に見通していた中国の動向にも暗雲が立ちこめている。景気回復の兆候の乏しさに加え、車の購入規制を検討する都市が増えているなど懸念材料も出ているからだ。1~6月は好調だったホンダの7月の販売は、在庫調整の側面が強いとはいえ、前年同月比22.7%減少した。日産の田川丈二常務執行役員は「中国販売のペースは今後、在庫調整などで鈍る可能性がある」と話す。
加えて、好調な北米市場も引き続き競争激化で、販売奨励金(インセンティブ)の額が高めになっており、利益が出にくくなっている。