【知恵の経営】アタックスグループ主席コンサルタント・丸山弘昭
トヨタ自動車の豊田章男社長は就任以来、苦難が続いた。しかし、2014年3月期は連結売上高25兆6900億円、営業利益2兆2900億円と見事に復活した。章男社長は「国内300万台生産体制は死守する。グローバル競争に勝ち抜くには日本にものづくりの現場がなければならない」と公言している。
トヨタが復活した強みは愚直にものづくりの改善を続ける「現場力」と考える。トヨタグループや協力会社の工場を視察すると、いつも「4S(整理、整頓、清掃、清潔)の徹底」と「現場の継続的改善活動」の2つを実感させられる。
4Sの観点では、とにかく工場がすっきりしている。車両生産の最終工程である組み立てラインには、部品は最低限の在庫しかない。「ジャストインタイム」で生産を行う「かんばん方式」を進化させた「トヨタ生産方式(TPS)」で世界のメーカーをリードしているが、その基本が4Sの徹底だ。
トヨタの副社長だった学生時代の友人に強みを尋ねると、即座に「現場力である」と答えた。例えばと聞くと「4Sの徹底。4Sを毎日やっていれば棚卸しはいらない」と語った。