6月で在任15年目に入るカルロス・ゴーン社長の下、高い経営目標を掲げ、その達成を通じて成長を続けてきた日産自動車が正念場を迎えている。
トヨタ自動車が過去最高益を見込むなど競合他社が2014年3月期の業績を大きく伸ばす勢いをみせる中、日産の最終利益見通しは前期比4%増程度にとどまり「独り負け」と揶揄(やゆ)される状況に陥っているからだ。
東日本大震災やタイの洪水被害からの立て直しにいち早く成功した日産が起死回生をかける次の一手は、資本提携先の仏ルノーとの一体運営。その成否は日産の浮沈の鍵を握ることになりそうだ。
「中期経営計画の目標達成に寄与してもらう。みなさんには結果を出すことに集中してもらいたい」。日産の横浜本社で開かれた1日の入社式で、新入社員にこう呼びかけたゴーン社長の発言が伝わると、社内に緊張感が走った。「コミットメント(目標必達)経営」を標榜(ひょうぼう)するゴーン社長が全社員に出した指示とも受け取れたからだ。