開発期間は7年に及び、メンバーが臭いを嗅いだ人の数は延べ800人に達した。多くの人の臭いを嗅いだ分だけ、商品に説得力を持たせることができた。清水さんは「開発しながらこれは心の健康商品でもあると再認識した。チームの苦労が伝われば」と望む。
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■団塊ジュニア世代、消費をリード
≪MARKET≫
民間調査会社の矢野経済研究所によると、2012年の国内男性用化粧品市場は前年比2.8%増の1095億円。規模こそ女性用の20分の1以下にすぎないが、伸び率では上回っている。
昔の男性用化粧品は、育毛促進剤と白髪染めを除けば、整髪剤と洗顔料がある程度だった。しかし、最近は商品ラインアップが拡大。臭いを抑えたり、体を清潔に保つことを狙ったボディケア商品の売れ行き好調が特に目立つ。
マンダムによると、デオドラントスプレーなどの防臭効果を持つ制汗商品は、12年度の市場規模が08年度比で42.6%拡大。頭皮ケアシャンプー・リンスは2.2倍、ボディーソープに至っては8倍以上と一気に増えた。
こうした商品の購買層は30~40代のミドル男性が中心だ。若いころから整髪剤に慣れ親しんだ団塊ジュニア世代が40代に突入し、さまざまな商品を日常的に使うようになった結果、整髪剤の使用頻度が高い若年層の人口減少を補っている。
働き盛りのミドル男性は社内外で「見られる」機会が多く、身だしなみに対しては若い人以上に敏感だ。「男性用化粧品は若者向けのもの」という以前の常識は、もはや通用しなくなっている。
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