大八木成男社長と定例の役員面接を行った昨年12月19日。「(後継社長を指名する)アドバイザリー・ボードが君を指名している」と聞かされ、「やれというならやりますよ」とその場で即答した。
「仕事は明るく楽しくまじめに一生懸命やる」が信条。入社時から取り組んできた創薬研究では「ほとんど成功しない中、いかに前に進むか。失敗してもそれを次にうまく使えば失敗でなくなる」と考え、常に前向きに仕事に向き合い、高尿酸血症治療薬「フェブリク」の発売などにつなげてきた。
趣味は小学校時に始めたサッカー。2人暮らしの妻と都内を歩いていた際、日本代表のザッケローニ監督と出会い、「握手をした」とうれしそうに話す。「実は試合が始まれば監督は何もできない。高い個人力は必要だが、その前に約束事やチーム作りをいかにするか。会社もそういうことだろう」と経営を趣味にたとえて説明する。
担当する炭素繊維複合材料の量産自動車への適用を見据え、「帝人のひとつの大きな核にできると確信を持っている」と、経営を引っ張る意欲は今も強い。
(兼松康)