■自動車向け炭素繊維の量産化に注力
--2013年を振り返って
「米国の自動車産業の復活に加え、国内ではアベノミクスで円安方向に導かれた大きな変革があった。一方、帝人が軸足を置く欧州は、緊縮財政により公共投資の部分で関連する太陽電池や自動車向けの素材が芳しくなかった。それ以外の国も低調だった」
--事業変革が求められた1年だった
「事業の構造改革を先行してやらなくてはいけないことが際立って目立った1年だった。特に素材事業については、国内外の需要低迷を受け全領域で大きな構造改革を迫られた。耐熱性に優れたアラミド繊維や、鉄よりも軽く強度の高い炭素繊維などの高機能繊維では工場の一部製造ラインの停止や人員の整理を実施した。一方で、医薬品や在宅医療などのヘルスケア事業や、IT(情報技術)事業は非常に順調に推移した」
--中国での需要減少と供給過多で、主力の樹脂などの汎用(はんよう)品素材の採算性が悪化している
「フラットパネルディスプレーの13年の販売実績は数量ベースで前年の約5割、金額も約8割と低迷した。ディスプレーフィルムなどの汎用品素材は、中国への製造移管がさらに進むだろう。今後は強い素材分野をどのように成長させていくかが焦点になる。例えば帝人独自の炭素繊維複合材料『セリーボ』は、ニコンの一眼レフカメラのボディーに採用された。使用領域の拡大で十分な成長が期待できる分野になるだろう」