昭和59(1984)年の設立50周年は、ロサンゼルス五輪の年。海外展開に注力し、タイプライターの米国での販売強化を模索していた同社は、記念プロジェクトとして五輪のオフィシャルサプライヤーになった。折しも、55年に電子オフィスタイプライターを発売しており、ちょうど製品の移行時期。経営陣の悲願が、米国でのブランド確立だった。
世界中の報道陣にアピール
五輪会場は、世界中の報道陣が集まる舞台でもある。同社はその報道陣にタイプライターが必需品であることに目を付け、自社製の最新タイプライター約千台を無償で提供。プレスセンターや各競技場で使ってもらった。
プレスセンター内には同社のサービスセンターを設置。技術者を常駐させ、アフターサービスにもあたった。一角には日本庭園風の休憩所を設け、お茶のサービスも行ったという。