開店から約3週間の平日昼下がりに訪れたところ12人の客が鍋をつつき、うち4人が女性。それから約30分の間に6人が新たに入店し、そのうち女性は4人だった。話を聞くと「1人でも気を使わない」「野菜を食べられるのがうれしい」といった理由で、足を運んだという。
「男女を問わず『1人行動』が増えている。ビジネスチャンスと捉え、ニーズを取り込むための知見を得たい」。吉野家HDの広報担当者は、いちなべ家を開いた狙いを説明する。
主力の牛丼店より客の回転率は低いものの、客単価は高い。白菜や水菜といった鍋向けの食材が必要になるが、牛肉などの調達を共通化すれば原価を抑えられる。客自身が調理を楽しむこともあって店員の負担が軽く、「ちょい飲み」のニーズを取り込めるのも利点という。
一方、KFCが10月1日に開いたのは、持ち帰り専門の「鶏から亭」。大手スーパー、ダイエーの碑文谷店(目黒区)にテナントとして出店した。「醤油(しょうゆ)」や「辛旨(からうま)」など4種の鶏空揚げを100グラム270円で販売。ケンタッキーフライドチキンの看板商品「オリジナルチキン」と同じ味付けの「秘伝スパイス」が最も人気を集めている。