輸入冷凍エビの価格が高騰している。病害の拡大で東南アジアなどの養殖場の生産量が激減し、供給不足に陥っているためだ。足元の取引価格は前年の2倍以上に跳ね上がり、輸入エビを使う外食各社はメニュー変更を余儀なくされ、大手商社も調達先の多様化を迫られている。病害の状況が改善しなければ、正月のおせち料理用などの需要が高まる年末から年始に向け、影響が深刻化する懸念もある。
病害などで供給不足
輸入業者によると、輸入元から卸業者などへの出荷価格(無頭カラ付き、1.8キロ当たり)は、すしネタやフライ向けに東南アジアで養殖されている「バナメイ」が2400~2500円と、前年(1100~1200円)の2倍以上に高騰。ブラックタイガーも値上がりし、インド産が前年の約2倍、インドネシア産も約1.8倍となっている。
高騰の要因は「早期死亡症候群」(EMS)と呼ばれる病害。バナメイの主産地の東南アジアで急速に広がり、バナメイが品薄状態に陥っている。年間50万トンで世界最大の輸出国とされるタイでは「今年の生産量が20万~25万トンにまで激減する見通し」(大手水産会社)で、天候不順などに見舞われた中国でも例年の3割減となっている。