Q10の特徴は、超小型ばかりではない。色も豊富なのだ。緑やオレンジ、金色など100通りから選べる。通常のデジカメは黒、銀、白などの定番がほとんど。カラーの豊富さは、業界で群を抜く。100通りを実現したのは、外装をマグネシウム合金からプラスチックに替えたため。プラスチックの色を変えれば、どんな色も作れる。「いろんな色のニーズに対応しようと思ったら、こうなった」(若代さん)。
色を増やしたことで、店頭での顧客の関心を高める効果も出ている。大型量販店などでは、20色程度を並べて展示されていることが多く、華やかな色合いにひかれて、その場で購入を即決するユーザーも多いという。
こうしたアイデアはどこから沸いたのか。若代さんは「レンズ交換式カメラで超小型なカメラを開発したいという思いは03年頃からあった」と振り返る。
しかし、当時の半導体の性能などを踏まえれば、「名刺大」まで小型化するのは難しい状況にあった。経営的にもHOYAとの合併を経て、11年10月にリコー傘下に移るなど、揺れ動いた。