CBREの渡辺善弘・ビル営業本部エグゼクティブマネージングディレクターによると、11年は震災後に、従業員数が比較的少なく、身動きが取りやすいIT系のベンチャー企業などが相次いで移転。維持費などのコスト削減を図る狙いもあり、「12年に入ってからは大企業が移転を決めている」という。
ただ、建物の機能の高さや立地の良さを、本社を置く条件としている傾向が強く、企業の移転は都心のビル賃貸料を全般的に押し上げる要因になる可能性がある。オフィスビル市場では「3.3平方メートル当たり2万~2万5000円程度と賃貸料が値ごろで利便性も高い物件は、品薄感が出ている」(渡辺氏)という。(那須慎一)
東京都内で本社機能の移転を実施・計画する主な企業
◆田辺三菱製薬(2012年5月)中央、千代田両区の自社ビルに分散する東京本社の拠点を集約、日本橋小網町スクエアビル(中央区)へ
◆ミスミグループ本社(12年9月)江東区の自社ビルなどに分散する拠点を集約、住友不動産飯田橋ファーストビル(文京区)へ
◆住友スリーエム(13年5月)世田谷区の自社ビルからガーデンシティ品川御殿山(品川区)などへ
◆キリンホールディングス(13年6月)渋谷、中央両区の自社ビルに分散する拠点を集約、中野セントラルパーク(中野区)へ
◆TOTO(13年6月)港区の自社ビルなどに分散する拠点を集約、汐留ビルディング(港区)へ
※()は移転完了時期(予定を含む)