清水建設は26日、沿岸部で20メートル級の大津波に襲われても、人命を守り、建物の損傷を最小限に抑え、事業も継続できる津波避難ビル「アーチ・シェルター」を開発したと発表した。外観は楕円(だえん)の筒状構造で、建物が受ける波力を小さくし、大津波に耐える強度を持たせた。最大でビル入居者と避難者2400人の人命を守れるという。
同ビルは7階建てで、楕円の筒状の外壁と、内部に免震性能を持つビルを組み合わせた二重構造。津波と地震の双方に対応できるように工夫されている。
建設費用は、同規模の通常のビルと比べ約1.5~2倍かかる見込みだが、ビルの損傷が最小限で済むため、改修費用を抑えられるなどのメリットが期待できる。
このため、沿岸地域で、主に防災拠点となる事務所や医療施設、役所などの公共施設向けに提案していく。また、円墳状で震災がれきなどを活用できる避難場所「グリーン・マウンド」を先行開発しており、2つの建設技術を組み合わせた提案も行う方針だ。
同社によると、全国に約4000棟ある津波避難ビルのうち、地震強度が不明なビルが2割を占める。アーチ・シェルターの開発は、津波避難ビルの適切なあり方を問う意味も持たせたという。