日産自動車が6月15日に発売した新型商用バン「NV350キャラバン」は、クラストップの環境性能と積載性能を誇る。最大積載量1トン級の商用バン市場は、トヨタ自動車の「ハイエース」とともに寡占状態にあるが、キャラバンは近年、シェアが1割台に落ち込んでいた。商品開発を担当したLCV事業本部商品戦略・企画グループの八木則彦チーフ・プロダクト・スペシャリストは、綿密な競合研究と市場調査を重ね、徹底的に商品力を強化したという。シェア奪還に向けて、11年ぶりの全面改良のポイントについて聞いた。
--新型車にはシェア巻き返しがかかる
「国内の最大積載量1トンクラスの商用バン市場は、約6万台で安定して推移している。このうち『キャラバン』は、国内シェアで過去、3~4割だった時代があったものの、直近では15%を切り、競合に大きく水を開けられていた。苦戦を強いられた原因として、2004年に発売したハイエースに比べて、燃費性能や荷室の長さなどで競争力が劣っていたと考えている。このため全面改良に当たっては、どのような顧客に受入れられるべきかという主要ターゲット層をじっくりと調査してきた。その結果、こうした小型商用バンは、工事業を中心に個人事業主が約6割を占めている。この層に受け入れられなければ、売れる車にはならないということで、顧客のライフスタイルや車に対する思い、使われ方などを販売店から吸い上げ、商品に落とし込んでいった」