名古屋の「丸栄」が百貨店を撤退 創業400年「名は残したい」テナント業態で再建
医薬品メーカーの興和(名古屋市)は12日、傘下の百貨店、丸栄(同市)を完全子会社化すると発表した。丸栄は東証1部などの上場が廃止となる見通し。経営不振が続き、従来の百貨店からテナント型の業態へ転換し、再建を目指す。
興和は丸栄株の約69%を保有しており、全株取得に向け株式公開買い付け(TOB)を実施する。買い付け価格は1株当たり128円で、期間は13日から5月29日。総額は約51億円を見込む。
丸栄は12日、興和出身の浜島吉充常務(64)が5月31日付で社長に昇格する人事を発表した。江崎美治洋会長(67)と野原太二雄社長(66)は退任する。
丸栄は、正社員やパート従業員を約300人抱えている。外部の店舗が入るテナント型への移行で人手がかからなくなるため、希望退職の募集など人員削減を検討する。
百貨店事業からの完全撤退も視野に入れるが、名古屋市で記者会見した浜島氏は今後の改装計画について「これからの協議だ」と述べるにとどめた。同席した興和の三輪芳弘社長(61)は丸栄の屋号に関し「(約400年の)長い歴史がある名前で、できれば残したい」との意向を示した。
丸栄が同時に発表した2017年2月期連結決算の純損益は、8億円の赤字となった。赤字は3年連続。衣料品が振るわず、売上高は前期比10.5%減の186億円だった。
浜島 吉充氏(はまじま・よしみつ)南山大卒。75年興和。12年丸栄監査役。取締役を経て15年5月から常務。愛知県出身。
関連記事