富士重工業社長・吉永泰之さん(62)
2017 成長への展望■新プラットフォームで安全優位性保つ
--米国市場を中心に販売が好調を維持している
「米国の好調は、安心・安全のブランドが浸透してきているのが要因だ。主力小型車『インプレッサ』の新型が昨年11月に現地生産を始め、本格的な販売は12月下旬。今年は新型が売れるので、全体の市場は伸びないと思うが、スバル車は伸びる」
--安心・安全機能は自動運転技術など開発競争が激しい
「安全性能の根幹はプラットフォーム(車台)だ。インプレッサで初採用した新型プラットフォームは衝突時に衝撃を吸収し、車内を守る性能を高めたので当面は優位性を保つことができる。(衝突回避ブレーキなど)運転支援システム『アイサイト』といった自動運転技術は差が縮まっていくと思うが、機能と価格のバランスで差を付ける」
--新型プラットフォームの車種展開は
「各車種の全面改良を機に展開していき、2019~20年に全車種に広げる。他社もプラットフォームの共通化を進めているが、費用低減が目的だ。富士重は安全性能を高めるために共通化を進める。他社とは思想が違うので競争せずに、優位性を保つことができると思う」
--生産能力の増強は
「昨年は米インディアナ工場の能力を21万8000台から39万4000台に増やした。18年度には43万6000台まで引き上げ、全体で約128万台体制をつくるので、需要に対応できる計画だ」
--米国販売の割合が大きく、為替レートの変動に左右されやすい経営体質だ
「為替を除いた企業の実力を高めようと(社内で)言っている。為替感応度を低くしようとすると海外の生産態勢を広げ、現在約100万台の販売台数を増やさなければいけない。それには新興国市場に進出し、小型車を開発するなど大手と同じビジネスモデルを採る必要がある。これは富士重と逆の路線だ。円高でも営業利益率が10%を確保できる魅力的な商品を出し続けることができるかが問題で、為替感応度を低くしようとする議論に入らない方がいいと考えている」
--4月に社名を「スバル」に変更する
「社長就任以来、ブランドイメージを上げる活動をしてきて成果が出てきた。社名を変えればイメージが上がるわけではないが、スバルに合わせて顧客の心の中で輝く星団のようなブランドになるようがんばろうと思う」
◇
【プロフィル】吉永泰之
よしなが・やすゆき 成蹊大経卒。1977年富士重工業入社。スバル国内営業本部長、専務執行役員などを経て2011年6月から現職。東京都出身。
関連記事