三菱ふそう、新型EVトラックを初公開 運行費ディーゼルより割安
三菱ふそうトラック・バスは21日、ドイツ・ハノーバーで報道公開が始まった世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」で、新型電気トラック「eキャンター」を世界初公開した。走行中に温室効果ガスを排出せず、排気音もない電気自動車(EV)の特性を生かし、来年中に市街地の商品配送向けとして日米欧で納入を始める。
マーク・リストセーヤ社長は「環境に優しく、日常的に使える。経済性も高い」と話した。
eキャンターは車両総重量が7.5トンの小型で、積載量は2~3トン。容量が13.8キロワット時のリチウムイオン電池を3~5個搭載する。5個搭載で1日最長100キロを走行し、電池を減らして積載量を増やすなど用途によって変更できる。
安い電気を使うことで、運行費用はトラック業界で主流のディーゼル車に比べて走行1万キロ当たり1000ユーロ(約11万円)削減できる見込み。エンジン油など維持費も減り、購入価格の上乗せ分は「2年で回収できる」(三菱ふそうトラック・バス)。
三菱ふそうトラック・バスは2010年に電気トラックを初公開し、日本やポルトガル、ドイツで実証実験を実施してきた。eキャンターは親会社の独ダイムラーの乗用車と電池を共通化して費用低減を狙うなど量産を視野に入れた。
ダイムラーはeキャンターを皮切りに、18年に主力ブランド「メルセデス・ベンツ」からEVの商用バンや路線バスの投入を計画している。この日のIAAモーターショーでは、大型EVトラック「メルセデス・ベンツ アーバンeトラック」を公開。車両総重量26トンで、最長200キロ走る性能をアピールし、20年にも販売する方針を改めて示した。
トラックなど商用車をめぐっては、米EVベンチャー、テスラモーターズも参入を表明しており、開発競争が激しくなっている。(ドイツ・ハノーバー 会田聡)
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