道路橋点検用ロボットを開発 イクシスリサーチ、富士フイルムや首都高速と共同
ロボット開発ベンチャーのイクシスリサーチ(川崎市幸区)は、富士フイルム、首都高速道路技術センターと共同で、道路橋点検用ロボットを開発した。社会インフラの老朽化が社会問題となる中、検査の熟練作業員も年々減り、技術の確実な継承も課題となっている。新たなロボットはこうした課題の解決に役立つと期待されている。
開発した「複眼式撮像装置を搭載した主桁吊下げ型ロボット」は、橋桁下にあるI字型の主桁に車輪を引っかけ、水平方向に毎秒30センチで移動する。道路面の裏側のコンクリート製床版にあるひび割れを上下方向に移動する2台のカメラで撮影する。縦2メートル、横1.5メートルの床版なら12カ所を連続撮影する。
カメラは1630万画素。2台搭載し、ひび割れの大きさやカメラからの距離などを正確に計測する。照明とストロボで自然光が届きにくい幅0.1ミリのひび割れでも安定した画像が得られる。
点検はロボット操作員に、操作を指示する作業員、周辺を監視する補助員の3人で行う。
2台のカメラで撮影された複数の画像から自動でパノラマ合成化。撮影座標、撮影方向などの情報も画像と一緒にパソコン上で管理できる。
これまでは撮影場所を控えておく必要があり、それを忘れて検査報告書が作成できなくなる問題などがあったが、ロボットでは撮影場所と画像がセットで記録でき、簡単に報告書が作成できる。5年後、10年後の比較も簡単にでき、橋の大規模な補修工事や架け替えの必要性について、適切に判断できる。
ロボットは、イクシスリサーチが全体の設計・開発、富士フイルムがカメラや画像処理技術をそれぞれ担当。首都高速道路技術センターは管理者の立場から助言したり、実験場所を提供したりした。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、2014年8月から開発してきた。
公開デモンストレーションを見学した防災コンサルティングなどを手掛ける日本ミクニヤの溝部剛担当課長は「こうしたロボットがあれば、作業中の事故を未然に防げる可能性がある」と語った。
イクシスリサーチの山崎文敬社長は「あと1年程度、さまざまな場所での実証試験を数多く重ね、事業化を進めたい」と話し、数年後の商品化を念頭に置いた取り組みを続ける方針だ。
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【会社概要】イクシスリサーチ
▽本社=川崎市幸区南加瀬5-18-16
▽設立=1998年6月
▽資本金=1000万円
▽事業内容=研究用・ゲーム用ロボットおよび電子機器部品の開発、販売など
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