東京・港区周辺で「億ション」販売合戦が活況 1坪1000万円超える物件も
大手不動産会社が、高級マンションがひしめく東京都港区とその周辺エリアで、自社の“顔”ともいえる超高級物件の販売合戦を繰り広げている。三菱地所レジデンスは13日、「ザ・パークハウス グラン 麻布仙台坂」のモデルルームを16日から本格オープンすると発表。住友不動産は赤坂御用地の近接地で10月の完成に向けて開発を進めているほか、野村不動産も「プラウド六本木」の第1期販売を終えた。いずれも閑静な住宅街として知られる場所で3.3平方メートル当たりの価格が1000万円を超える超高額の住戸も。首都圏新築マンションの販売が伸び悩む中、富裕層を対象にした物件をめぐる動きは活発だ。
全て120平方メートル以上
三菱地所が展開する「ザ・パークハウス グラン」は、都心のフラッグシップシリーズ。そのブランドにふさわしく、近くには大使館や邸宅が立ち並ぶ。街並みに調和するように外壁に白御影石を採用するなど、高級感を訴求した。11戸で専有面積はいずれも120平方メートル以上。販売価格は2億4000万~3億2000万円台を予定している。
目の前に赤坂御用地の緑が広がる物件が、住友不動産の「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」(新宿区)。総合マンションギャラリー新宿館に模型やモデルルームを設置し、販売活動を進めている。これまでに2期にわたる販売活動を実施。最高価格は最上階に当たる7階の住戸で、優れた眺望を武器に3.3平方メートル単価は1000万円超と強気に設定した。
プラウド六本木は六本木の中心から奥まった高台に建設。外壁には世界各地から吟味した3種の天然石を採用するなど、内外装素材にこだわる。総戸数は35でこれまでに第1期分の17戸を売り出した。価格は2億3200万~10億4000万円、3.3平方メートル当たりの平均単価が900万円超という物件にもかかわらず、最高価格の住戸をはじめとして16戸がすでに契約済み。実需が中心だという。
投資家の動き活発
不動産経済研究所の調査によると首都圏の新築マンション販売は、6カ月連続で前年実績を下回っている。こうした中、好調に推移しているのが「希少立地など好条件を備えたマンション」(三菱地所レジデンスの宮島正治・専務執行役員)。代表的な事例が、都心部にある一連の富裕層向け物件。地価は上昇傾向が持続するなど不動産関連の市況が全般的に好調で、安定した収益を稼げるといった理由から、投資家の動きが活発な点も後押ししている。
2020年の東京五輪を控えて建築コストが高止まりし、建築費の占める割合が大きい郊外物件は不利な状況にある。こうした事情も加わって、「異次元」(不動産経済研究所の田村修取締役)とまで指摘されるようになった都心部の富裕層向け超高級マンション市場は当面の間、底堅く推移するとみられる。
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