街全体を謎解きの舞台に スマホを手に周遊しながら遊ぶナムコの「ロケなぞ」
外を出歩くのが楽しい季節にぴったりの遊びがナムコ(東京都港区)から登場した。密室に入って謎を解くゲームが集まった「なぞともCafe」をはじめ、「なぞとも」ブランドで展開しているリアルゲーム事業の新しい取り組みとして、街全体を舞台に、スマートフォンのアプリを使って謎解きゲームを進めていく「ロケなぞ」を投入。まずは大都市圏から提供を始め、ゆくゆくは全国に展開していき、謎解きを利用した地域おこしにも利用してもらう考えだ。
手にしたスマートフォンから音声やメールで指示が流れる。ダブル・スパイとなって日本を危機に陥れる情報流出を防げ。そんな指示を受けたプレーヤーは、スマートフォンを通して伝えられる情報に従って、電車を乗り継ぎ指定の場所に行き、暗号を解き割り出した番号やキーワードを打ち込み、さらに移動しながら最終地点をめざして進んでいく。
ナムコが今年の3月に「ロケなぞ」の第1弾として投入した「ダブル・スパイ」シリーズは、そういったストーリーでプレーを進めていく謎解きゲーム。無料で楽しめる「ダブル・スパイの誕生」と、有料の「ダブル・スパイの覚醒」(東京編・大阪編、各480円)があって、東京では23区内の各所でプレーする人を見かけられる。
施設の中を回遊しながら、ヒントを探して謎を解いていくアトラクションタイプのリアルゲームなら、これまでも数多く提供されていた。「ロケなぞ」では、東京編なら23区内の各所を実際に回って謎を解いていく必要がある。街中のさまざまなものに設定されたポータルをハックして歩く「Ingress」とはまた違った、頭を使った謎解きの苦労や楽しさを移動した先で体験できる。
映画とのタイアップも行った。5月14日に公開された映画「心霊ドクターと消された記憶」とコラボレーションして、主人公の精神分析医に降りかかる謎に挑むアナザー・ストーリーを、東京・渋谷の街を舞台にして実施した。こうしたタイアップ以外にも、大型の商業施設内をめぐって謎解きを楽しんでもらうプロモーションの仕組み、ご当地の名所などを回遊させる、観光PRも兼ねたエンターテインメントを提供する仕組みにも応用できるという。
ナムコではこの「ロケなぞ」を、首都圏や大阪地域だけでなく全国にも展開していく予定。「街をテーマパーク化する」といったスローガンのもと、全国を謎解きのフィールドへと変えていき、その上で謎解きを楽しむユーザーを増やし、ご当地ならではの謎解きを提供してリアルゲーム全体の盛り上げに一役買う。
「ロケなぞ」は単体のゲームとしてではなく、コンテンツマネジメントシステムを導入した、リアル街めぐりイベントアトラクションとして提供されている。謎解きのストーリーさえあれば、ソフトウェア開発の知識がなくても、「ロケなぞ」のプラットフォーム上にアプリコンテンツを作成して提供できる。
小規模の謎解き制作集団や個人のクリエイターが、自分なりの謎解きを作って「ロケなぞ」上に発表。ユーザーがこれをプレーすることで、クリエイター側に収益が還元される。端末上で遊ぶゲームアプリの制作・販売とは違った、謎解きコンテンツの制作という才能を発揮できる場となりそうだ。
ナムコではこれまでも、謎解きゲームの情報を集めたポータルサイト「なぞとも.com」を展開して情報発信を行ってきた。謎解き制作集団らの協力も得ながら、小部屋の中に設定された謎解きを楽しむ施設「なぞともCafe」を、東京都の歌舞伎町や大阪の難波で展開している。
4月には、いったん終了していた東京都渋谷区にも「なぞともCafe428」を再オープンして、サウンドノベルゲームの名作「かまいたちの夜」に最大4人で挑戦する謎解きゲームなどを設置。カラオケボックスで歌うのとは違った、仲間内での時間の過ごし方を提案している。海外でも中国やロンドンなどに施設を作って、世界に謎解きの面白さを広めている。
ナムコではこの「なぞともCafe」をさらに増やして、2016年度中に20店舗、3年後には50店舗にまで増やしていく考え。新しく始めた「ロケなぞ」も拡充して、リアルゲーム事業としての「なぞとも」ブランドを大きく伸ばしていく。
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