野村不動産 都心で多機能の都市再開発に注力

トップは語る

 □野村不動産社長・宮嶋誠一さん(57)

 --4月から新たな中長期経営計画がスタートした

 「2016年3月期までの3カ年計画ではバランスシートを膨らませず財務基盤の整備に注力し、目標だった自己資本比率30%水準は前期に、営業利益650億円は2期前倒しで達成した。25年3月期までの新計画では住宅事業に3.2兆円を投資し、安定成長を実現する。賃貸事業には1.8兆円を投じて収益力を強化する。これにより総資産を1兆円超積み増す」

 --都市再開発は

 「住宅を核に商業ビルやホテルなど多機能で高い利便性を持つ複合開発に力を入れる。東京・虎ノ門や西麻布、新橋、赤坂など、都心で再開発事業に取り組み、優良な固定資産を取得する考えだ。さらに収益不動産としてPMO(中規模オフィスビル事業)、GEMS(都市型商業施設)、Landport(物流施設)などを年間約20件開発。売り上げ規模を現状の330億円から早期に1000億円に引き上げることを目指す」

 --横浜市港北区で持続可能な街づくりが始まった

 「綱島でパナソニックやユニー、アップルなどと『Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン』構想を策定。街区全体でLEED(世界的な環境認証評価)のND(近隣開発)でゴールド取得を目指す。ここに隣接する日吉地区と連携して持続可能な魅力ある街づくりを推進する」

 --20年東京五輪・パラリンピック以降の取り組みは

 「五輪に向けたインフラ整備は先行投資に当たるので反動減は避けられないが、インフラが良くなればインバウンドも増えていくので、この勢いに乗る。その一環として、ホテル事業への進出も検討している。ホテルの他にもシニア事業、海外展開など新たな事業にチャレンジしていく」

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【プロフィル】宮嶋誠一

 みやじま・せいいち 早稲田大理工学部卒。1981年野村不動産入社。2004年取締役、12年代表取締役兼専務執行役員、14年同副社長執行役員、15年から現職。東京都出身。