(2)経営責任は? 淡々と話す高橋社長…会場にため息も

シャープ決算会見詳報
シャープが2016年3月期連結決算の発表を受け会見を行った。会見終了後に報道陣に囲まれる高橋興三社長(中央)=12日、東京都港区(寺河内美奈撮影)

 《過去最高の営業赤字を計上したシャープの平成28年3月期連結決算の発表会見は、高橋興三社長の概要説明の後、午後3時35分ごろから質疑応答が始まった。質疑応答は大阪市のシャープ本社の会場とも回線をつないで行われた》

 《質問はまず、高橋社長の進退に集中する》

 --台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の戴正呉副総裁が新社長に選ばれた経緯は

 高橋社長「お互いに色々協議をし、鴻海から6人、シャープから3人取締役を出すことが決まった。今回役位が決定しているのは戴さんだけだ。色々な議論はあったが、非常に力をお持ちの方。日本語の実力も高い。総合的観点から選ばれたものとして同意している」

 --社長を退任することへの受け止めは

 高橋社長「非常に大きな出資をいただいたので、社長の地位は鴻海が担うべきだと考える」

 -業績が傾いたことによる経営責任をどう考える

 高橋社長「シャープは上場廃止とかではない。シャープという形は存続していくということが事実としてある。どうやって生き残っていくのかが大事なポイント。2期連続の赤字に対しては、責任があるのはもちろん重々承知している。鴻海の出資を得て、新しいステージに持っていく道筋を退任の前につけたい。それが自分の責任であると考えている」

 《高橋社長は記者からの経営責任に対する厳しい質問にも語気を荒げることなく淡々とこたえた》

 《業績についても厳しい質問が続いた》

 --赤字になるということは、再建計画に無理があったのでは

 高橋社長「赤字は本当に申し訳ないことだと思う。液晶事業の下ぶれが大きい。昨年以来続く、中国市場への見方が甘いことが大きく影響している。液晶は中型への移行が遅れた。BtoB(企業間取引)も苦戦した」

 --赤字事業の構造改革が必要では

 高橋社長「家電分野では赤字はデジタル家電だけで、構造改革の一環として特に中国での販促費を見直している。テレビ事業も黒字になっていくと思っている。液晶事業は中型など高付加価値製品に素早く移行していくことが必要。将来の話になるが、液晶は鴻海との相乗効果が非常に大きい。出資受け入れ後に工程や部材の調達で大きな相乗効果が出てくるはずだ」

 《鴻海頼みの経営姿勢が強く感じ取られる高橋社長の返答。業績見通しも楽観的な印象で、会場の一部からため息が聞こえた》