直接民主制のスイスでは、大統領さえ連邦議会選出の7人の執行役が輪番で受け持ち、政治は国よりも州レベルで完結しているようで、議員は自分の仕事との兼務なので全員無給です。公用語は5カ国語とグローバル化を後押ししており、人材育成は大学に頼らず、国民の8割が中学・高校卒業までに実学・職業訓練を受けます。18歳になったときにはすでに「稼ぐ力」を持っており、大学卒と同等以上の年収を得ているようです。
大学過剰で22歳まで稼ぐことを知らず、職能を持たない若者が半数を占める日本は、高等教育と職業教育を大幅に見直す必要がありそうです。
巧みな国家戦略で金持ちの国になったシンガポール
シンガポールも代表的な資源なき「V国家」で、なんと100万ドル長者が全所帯の2割を占める“お金持ちの国”です。3~5年ごとに国家戦略を切り替える伝統は、国民生活向上を究極の政策ゴールとして、世界中から人材と資本を集め、欧米資産のアロケーションを一手に担うに至っていることで、その有効性が実証されています。事業プロジェクトごとに役所を立ち上げ、目標達成後は解散させて民営化で稼がせる手法は、世界最大手の港湾管理会社PSAなどに成功例を見ます。