北欧諸国やスイス、シンガポール、ルクセンブルクなど、資源もない小国ながら技術力、知的労働力、ブランド力、金融力などに優れ、「グローバルに活躍できる高度な人材」を生かしている賢い国家群こそ、日本はモデルにすべきでしょう。工業国の至上目的だった量=GDPの大きさより、量の先にある知価=質を追求し、金融やブランド品、占有力の高いハイテクなどを通じて、高い付加価値によって「高所得を稼ぐGNI国家」を目指すべきなのです。
スイスといえば「観光」というイメージが強いかもしれませんが、同時に技術・ブランド立国の国でもあります。人口800万の小国ながら、世界のトップ企業が数十社もあるそうです。国内に市場がなく、EUにも加盟していないので、最初から世界市場をターゲットにせざるをえないのです。
たとえば、世界最大の食飲料会社のネスレ、ロレックスをはじめとする伝統の高級腕時計産業、高級チョコのリンツ、世界有数の人材派遣事業のアデコ、ヘッドハンターのエゴンゼンダー、セメントのホルシカー、海もない国なのに船舶エンジン世界一のスルザー…。これらのスイス企業は「いくらフラン高になっても為替の影響は受けない」と豪語しており、“想定外”を未然になくしてしまう賢い国家なのです。