「『残業は嫌だ』とラインの責任者に言うと、その責任者は私の学校の先生に報告しました。先生は、私が残業を拒否すれば、フォックスコンでインターンができなくなるうえ、卒業や奨学金の申請に悪影響が出ると言いました。選択の余地はありませんでした。耐えるしかなかったのです」
そもそも、なぜ学生インターンを大量に採用するのでしょうか。答えは、安価な労働力をコキ使って生産目標を達成するためです。
CLWが入手した内部文書にはこう書かれていました。「労働力不足を解消し、労働者の募集にかかるコストを削減するため、地元の学校と協力し、学生インターンを募集したいと考えています。人件費が安く、一度に大量の労働者を雇うことができるうえ、追加の労働者を他のポジションに再配置しやすくなることで、新たな事柄を学ぶ能力が高くなります」
さらに、こんな文言まであったのです。「夜勤のラインのリーダーは、学生インターンや教師に対し、仕事が上手くいっているかどうかを頻繁(ひんぱん)に報告せねばならない。そして、異常な状況は報告し、教師は生徒に夜勤や残業をするよう説得する必要があります」。つまり、工場と学校がグルになって、学生インターンを安価で違法就労させていたわけです。CLWは報告書で「学校と工場は協力体制を取り、学校側は多数の学生インターンを工場に派遣したが、工場側が彼らに残業や夜間勤務を強いているという事実を無視した」と厳しく批判。
そして「工場側は3か月間で、学校側に対し、学生インターン1人当り、1時間3元(42セント=約45円)という追加の補助金を支払った」とまで暴露しました。
まだあります。CLWの報告書によると、問題の工場には計7435人の従業員が働いており、うち、学生インターンは1581人です。割合で言えば全体の21.3%ですが、これは「職業訓練校の学生インターンシップに関する行政上の規定」の第9条に違反しているのです。規定では「学生インターンの数は全従業員数の10%を超えてはならない」と定められているのです。