【試乗インプレ】速くてよく曲がる、そして酔わない? GVCで進化したマツダ・アクセラ(前編)
更新マツダが今夏、主力車種「アクセラ」にマイナーチェンジを実施した。目玉となる変更点の一つは、コーナリング時に車両の操縦性を高めて走りやすさに磨きをかけた「G-ベクタリング コントロール(GVC)」という機能。ほかにも装備や安全面など広範囲に改良を加えるなど、販売開始から4年目突入を目前にして大幅な進化を遂げたという。今回は2.2リッターのディーゼルターボエンジンを搭載するセダンに試乗。前編では走行性能を中心にチェックする。(文・大竹信生 写真・瀧誠四郎)
エンジンを制御して操作性を向上させるGVC
アクセラは2003年まで製造された小型車「ファミリア」の後継車として開発され、3代目となる現行モデルは2013年に発売された。海外でも「Mazda3」の名で高い人気を誇るマツダの世界戦略車で、ハッチバックとミドルセダンの2タイプを展開している。
今回のマイナーチェンジで最も注目された変更点の一つがGVCの搭載だ。この機能を日本語で表すと【車両の加速度(G)を方向付ける(Vectoring)制御(Control)】となる。マツダの言葉を借りて説明すると、「“エンジンでシャシー性能を高める”ことで、誰もがリラックスして思いのままにクルマを操れる技術」だそうだ。
では、一体どのようなメカニズムで実現しているのか。通常、カーブに差し掛かったクルマは「ブレーキ(減速) → ステア(旋回) → アクセル(加速)」の連係動作を経てコーナーを抜けていく。この間にGVCが行う一連の動きはこうだ。まず、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを低減し、前輪へ荷重移動を行うことでフロントグリップを増加させ、クルマの応答性を向上させる。その後、ハンドルの舵角からカーブを曲がり切ったことを認識すると、トルクを復元させて後輪へ荷重移動を行い、リヤにトラクションをかけながら車両を安定させるのだ。要はGVCが横方向と縦方向のGを統合的に制御してクルマに「なめらかなGのつながり」をもたらすという技術なのだ。