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スコットランド18日に住民投票 賛成派が初めて優勢 独立志向に拍車 欧州各地を刺激

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スコットランド18日に住民投票 賛成派が初めて優勢 独立志向に拍車 欧州各地を刺激

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英スコットランド、スペイン・カタルーニャ自治州バルセロナ(州都)  英北部スコットランドの独立の是非を問う住民投票が18日に迫る中、英日曜紙サンデー・タイムズは7日、最新の世論調査結果を発表、独立を支持する人が反対派を2ポイント上回り、51%となった。サンデー・タイムズによると、世論調査で独立賛成派がリードするのは初めて。

 調査はサンデー・タイムズが調査機関ユーガブに委託したもので、今月2日発表の前回調査結果に比べて、賛成派は4ポイント増えた。

 1カ月前には独立反対派が賛成派に20ポイント以上の差をつけていたが、賛成派は投票直前になり急伸。今回の調査でも賛成派の支持拡大を裏付けた。背景としては、先月下旬の公開討論会で、賛成派が反対派との論戦で優位に立った点などが指摘されている。

 住民投票では、独立後の「新国家」の経済が最大の争点。北海油田からの収益などを念頭に経済状況の好転を訴えるスコットランド行政府のアレックス・サモンド首相(59)ら独立派に対し、英政府は経済が反対に悪化すると警告し、残留を呼び掛けている。(エディンバラ 内藤泰朗/SANKEI EXPRESS

 ≪独立志向に拍車 欧州各地を刺激≫

 英国からの独立の是非を問う北部スコットランドの住民投票は8日、実施まで10日に迫った。欧州では近年、中央政府からの独立・分離を目指す地域の動きが活発化している。スコットランドの行方は英国のみならず、各地でくすぶる独立の動きを改めてクローズアップすることになりそうだ。

 カタルーニャで支持45%

 欧州でこうした動きが活発化した背景には、債務危機以降、裕福な地域が貧しい地方のために富を奪われているとの意識が、独自文化を背景にした従来の独立志向に拍車を掛けているためだ。

 とりわけ、独自の言語を持つスペイン北東部カタルーニャ自治州では、州政府が11月9日に独立に関する住民投票を実施すると公言している。スペイン第2の都市バルセロナを州都とし、その経済規模は全国の約2割を占める。

 州政府の調査によると、独立支持は45%に上り、反対は28%。5月の欧州議会選挙で、独立を目指す左派政党が国内第一党の座に就いた。スコットランドの住民投票の結果次第では、独立への機運がさらに高まる可能性もある。

 ただ、英国と異なり、スペイン政府は投票阻止の方針を貫く。マリアーノ・ラホイ・ブレイ首相(59)は国家主権に関わる独立問題は国民全体で決めるべきだとの姿勢。投票は「違憲」で、強行の場合は提訴する構えだ。これに対し、カタルーニャ州のアルトゥール・マス首相は「英国のように法的枠内で行いたい」と漏らしている。

 北部オランダ語圏と南部フランス語圏の対立が続くベルギーでは5月の総選挙で、北部の分離独立を目指す「新フランドル同盟」(N-VA)が躍進し、前回選に続き第一党を維持。前政権でN-VAは排除されたが、今回は新政権樹立に向けた連立交渉に加わり、初の政権参加が実現するかに関心が集まっている。

 クリミア併合を正当化も

 一方、ロシアのプーチン政権も「地元住民の意思」を盾にウクライナ情勢に介入してきた経緯があり、スコットランドでの住民投票の行方を注視している。独立賛成票が過半数を占めた場合、ロシアは3月のウクライナ南部クリミア半島併合や、ウクライナ東部での親露派支援を正当化するために結果を援用する可能性が高い。

 ただ、ロシアは世界有数の多民族国家であり、民族主義や地域の分離運動が自国内で高まる事態には潜在的な警戒感もある。(ベルリン 宮下日出男、モスクワ 遠藤良介/SANKEI EXPRESS

 ■スコットランド住民投票 スコットランドは1707年にイングランドと連合王国を形成。しかし、サッチャー政権による国営企業の民営化で、造船、鉄鋼などの中心産業が衰退し、2011年の地方議会選挙で、英国からの独立を主張する行政府のアレックス・サモンド首相率いるスコットランド民族党(SNP)が大勝し、住民投票実施につながった。

 独立派は独立後も英通貨ポンドを使い続けるとしているが、英政府はポンドは使わせない意向を表明。安全保障面でも、独立派は非核国家を目指しており、英国内ではスコットランドにある英海軍原潜基地の行方に懸念が高まっている。

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