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幅広く楽しめる作品を目指しました 映画「サンシャイン 歌声が響く街」 デクスター・フレッチャー監督インタビュー

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幅広く楽しめる作品を目指しました 映画「サンシャイン 歌声が響く街」 デクスター・フレッチャー監督インタビュー

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「登場人物を構築していく映画作りの最初が一番わくわくする」と語るデクスター・フレッチャー監督=2014年6月19日、東京都港区(高橋天地撮影)  2007年の初演で大ヒットした英ミュージカルを映画化した「サンシャイン 歌声が響く街」は、スコットランドの田舎町リースで暮らすごく平凡な家族が直面した思わぬ試練を次々と乗り越えていく力強い姿をつづった人生賛歌だ。俳優でもある英国のデクスター・フレッチャー監督(48)は大のミュージカルファンで、本作の味付けに関しては「子供から大人まで幅広く楽しめる親しみやすい作品を目指しました」と意気込みを語った。

 音楽は心の声を表現

 結婚25周年を迎えたばかりのロブ(ピーター・ミュラン)とジーン(ジェーン・ホロックス)のもとへ、アフガニスタンでの兵役を終えてスコットランドに無事帰還した長男のデイヴィー(ジョージ・マッケイ)と、親友のアリー(ケヴィン・ガスリー)が顔を出し、たちまちロブ一家はお祝いムード一色となった。だがそれもつかの間、大勢の友人を招いた銀婚式のパーティーの席上、ロブに24歳になる隠し子がいることが発覚し…。

 スコットランドの人気バンド「ザ・プロクレイマーズ」のアルバム「Sunshine on Leith」(1988年)のナンバーに乗せて、登場人物たちが実に生き生きと人情味たっぷりに描かれている。監督は登場人物の構築では「歌詞をじっくりと味わったうえで、登場人物はどんな人間なのかをゼロから作り上げていきました。かなり時間をかけましたよ」と振り返った。

 そんな映画作りのスタイルをとったのは、オペラの舞台監督でもある妻の「音楽は登場人物の心の声を直接的に表現できる」という主張を意識してのものだったそうだ。それぞれが傷つき今にも空中分解しそうな家族の姿が、どこか温かく味わい深いものとなったのもうなずける。

 徹底的な人物造形

 若い俳優たちに対して、監督は自分が演じる人物のバックストーリーをまとめさせ、レポートで提出させた。しっかりと自分のパートを掘り下げ、登場人物の関係性をも含めて完全に体得させるのが狙いだった。その後、みんなでレポートを持ち寄って、さらにバックストーリーをすり合わせて完成形へと近づけた。監督自身も経験したことがない徹底的な人物造形を課した訳だが、その意図は明確だ。

 「彼らの中にミュージカル役者はほとんどいませんでした。だからといって、この映画ではせりふを覚えたうえで、演技も歌も同時に披露しなければならず、俳優に要求されるレベルは極めて高かった。1カ月間に及んだリハーサルは、私たちにとって大きな実験の場となりましたよ」。8月1日、全国公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■Dexter Fletcher 1966年1月31日、英国インフィールド生まれ。俳優として76年「ダウンタウン物語」、80年「エレファントマン」、98年「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」などに出演。2011年「ワイルド・ビル」で監督デビュー。英国アカデミー賞の最優秀新人映画部門でノミネートされた。本作は監督2作目。

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