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各国連携ボコ・ハラムに「宣戦布告」 ナイジェリア安保サミット 行動計画採択

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各国連携ボコ・ハラムに「宣戦布告」 ナイジェリア安保サミット 行動計画採択

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5月17日、首都パリで開かれた「ナイジェリア安全保障サミット」に出席したナイジェリアのグッドラック・ジョナサン大統領(左から3人目)やフランスのフランソワ・オランド大統領(左から4人目)=2014年、フランス(ゲッティ=共同)  ≪一緒に逃げられず後悔…生還女子生徒に喜びなく≫

 ナイジェリアで270人以上の女子生徒を拉致したイスラム過激派ボコ・ハラムへの対策を協議する「ナイジェリア安全保障サミット」が5月17日、パリで開催され、協議終了後、フランスのフランソワ・オランド大統領(59)は国境管理強化やテロ関連情報の共有を目指す「中長期の地域行動計画」を採択したと発表した。国際社会はボコ・ハラム包囲網の構築を急ぐ。

 拉致事件発生から1カ月が経過しても解決の糸口は見えない。各国は女子生徒の救出に全力を挙げるとともに、新たなテロを防ぐため、哨戒活動や武器密輸取り締まりなどの面で協力態勢を早急に整える方針。

 ロイター通信は17日、外交筋の話としてナイジェリアが国連安全保障理事会にボコ・ハラムの制裁を求めることに原則的に同意したと報じた。

 協議終了後の記者会見でオランド氏はボコ・ハラムが先端兵器を使いこなすなど高い戦闘能力を持っているとの認識を示した上で「アフリカで活動する全てのテロ組織と結びついている。欧州にとっても脅威だ」と強い危機感を示した。

 ナイジェリアのグッドラック・ジョナサン大統領(56)はボコ・ハラムを「西アフリカの(国際テロ組織)アルカーイダだ」と指摘。隣国カメルーンのポール・ビヤ大統領(81)も「われわれはボコ・ハラムに宣戦を布告するためにここに来た」と表明した。

 周辺国のニジェール、ベナン、チャドや米英両国、欧州連合(EU)の代表も出席した。米英仏は情報機関の専門家らを現地に派遣している。

 また、中国国営通信の新華社(英語版)は5月17日、カメルーン北部で、中国系企業の宿舎が武装集団に襲撃され、中国人1人が負傷し、10人が行方不明になったと伝えた。ロイター通信は現場がナイジェリアとの国境付近で、ナイジェリアのイスラム過激派ボコ・ハラムによる犯行とみられると報じた。

 ≪一緒に逃げられず後悔…生還女子生徒に喜びなく≫

 ナイジェリアでイスラム過激派ボコ・ハラムが女子生徒270人以上を拉致した事件で、拉致された直後に自力で逃げ出した約50人の生徒の一部が5月18日までに、海外メディアに体験を語り始めた。九死に一生を得たにもかかわらず喜びはなく、友人らの救出を願い続けている。

 「アラー・アクバル(神は偉大なり)」。4月14日夜、学校の寄宿舎に突然、男たちの叫び声と銃声が響いた。就寝中だったというクマ・イシャクさん(18)は米紙ニューヨーク・タイムズに「『死にたくなければトラックに乗れ』と脅された」と語った。

 男たちはボコ・ハラムを名乗り、恐怖に震える生徒を正門に集め、学校に火を放った。武装した男たちの車が最後尾となり、トラックの車列は雑木林が生い茂る地域へと入っていった。

 車内で多くの生徒が嘆き悲しむ中、イシャクさんはトラックが速度を落とした隙に飛び降り、やぶの中に逃げ込んで擦り傷程度で生還を果たした。「一緒に逃げようと言ったけれど、撃たれるのが怖くて拒否した子もいた」と振り返った。

 トラックは半日後、森の中にあるボコ・ハラムの拠点に到着した。ゴディヤ・サイモンさん(17)は料理を作るように命令され、男たちが食事をしている間に友人らと逃げ出したという。

 雑木林をさまよい、近くの住民に保護されて助かったが、多くの生徒が取り残され、喜べなかった。サイモンさんはボコ・ハラムが公開した映像に「友人たちが写っているのを見て涙が出た」と話した。

 心の傷に苦しむ生徒もいる。「学校に戻るのが怖い」。サラ・ラワンさん(19)はAP通信の電話取材に訴えた。他の生徒たちと一緒に逃げられなかったことに後悔をにじませ「彼女たちの家族が私の姿を見るたびに悲しむの」と話した。(共同/SANKEI EXPRESS

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