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ゴジラ&弁護士 法廷で偽物退治 米無断使用で訴訟32件
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米カリフォルニア州ロサンゼルス・ハリウッド 全米で5月16日からハリウッド版が公開される日本の特撮怪獣映画「ゴジラ」が、米国の法廷で優秀な弁護士を味方に付け、知的財産権を侵害した偽物ゴジラと闘い続けている。1954年の誕生から60年を迎えたゴジラは米国でも人気が高く、映画化も今回が2回目。一方で、自動車、玩具、ワインなど多数の商品や広告に無断で使用され、訴訟が絶えない。AP通信は、「米国の法廷では巨大怪獣さえも弁護士が必要だ」と伝えている。
「ゴジラはディズニーのミッキーマウスと同じくらい法廷で守られているよ」
ゴジラの著作権を持つ映画会社の東宝と1980年代半ばから契約している米ロサンゼルスの弁護士、チャック・シェファード氏はAP通信のインタビューでこう胸を張った。ゴジラの著作権や商標権を侵害し、訴訟に発展したケースは91年以降、32件に上ると明かした。
ハリウッド版「GODZILLA」は米国を皮切りに、世界63カ国・地域で公開を予定しており、日本は7月25日に封切られる。98年に公開されたハリウッド版第1弾は、イグアナをモチーフにしたという「醜い姿」に、日本の多くのファンがガッカリした。第2弾の今作は昔からゴジラの大ファンという英国人のギャレス・エドワーズ監督がメガホンを取り、「少し太めだが、日本のゴジラに忠実」と好評だ。
だが、米国ではこれまで多くの偽物ゴジラが暴れ回っており、弁護士のシェファード氏は相棒のアーロン・モス氏とともに、権利を侵害するやからを片っ端から訴えてきた。
ホンダの米国法人は91年にミニバンの宣伝のため、全米カレッジフットボール王座決定戦「ローズボウル」のパレードでゴジラを無断で使用し、和解金を支払う羽目に。米ケーブルテレビ大手コムキャストも訴訟対象になった。2002年にはカリフォルニア州のワイン醸造業者がワイングラスを持つゴジラのイラストをラベルに使った「キャブジラ」を販売して訴えられ、在庫を処分させられた。
さらにラップ歌手のファロア・モンチ(41)が1999年のヒット曲「サイモン・セイズ」にゴジラのテーマを無断使用し敗訴したケースも。
一方で、ゴジラ側が敗れた事例もある。81年に大手百貨店シアーズが販売したゴジラをモチーフにしたゴミ袋「バジラ」は、「ユーモラスな風刺で東宝の権利ビジネスに深刻な影響を与えない」と判断された。
2人は、現在もルイジアナ州でゴジラ映画に敵役で登場する「メカゴジラ」にそっくりなイラストが描かれた「メカホプジラ」というビールを販売している業者と係争中だ。
米娯楽業界では「ゴジラより恐ろしいのは、ゴジラ担当の弁護士だ」とささやかれている。
その弁護士、モス氏によると、訴えられた側は「ゴジラではなく、これは恐竜だと主張する例が多い」という。ただ、背中にゴジラの特徴である突起があったり、大都会で暴れ回る様子が描かれていたりするため、権利侵害は一目瞭然。
「火を噴いたり、街を踏みつけたら、(恐竜との)主張は通らない」と、モス氏は法廷での闘いに自信をみせている。(SANKEI EXPRESS)