大勢のバレエダンサーが床に寝そべって一体何を？　このほど、ニューヨークのリンカーンセンター内にあるデビッド・Ｈ・コッチ・シアターの床面に出現したのは、ニューヨーク・マンハッタンを本拠地とする世界最高峰のバレエ団「ニューヨーク・シティ・バレエ団」（ＮＹＣＢ）のダンサー約８０人の写真。写真は伸縮性のある巨大な紙にプリントされ、その紙がリノリウムの床面を覆い尽くした。

　これは、ＮＹＣＢが昨年（２０１３年）から行っているアート・シリーズで今回が２回目。フロアに降りて見下ろすと、ダンサーたちと目が合うこと、合うこと。通行人たちは、思わずダンサーの隣に寝そべって記念撮影をしたり、４階まで上がって全体を見渡したりと、思い思いの楽しみ方で鑑賞していた。

　この巨大なアート作品を制作したのは、フランス出身でパリを拠点に世界で活躍するアーティスト、ＪＲ。屋外の建物に巨大な写真を貼り付けたり、道路を巨大な写真で覆ったりするアート活動で知られる。

　２０１１年には、Ｕ２のボノやビル・クリントン米元大統領も受賞し、「世界を変えるアイデア」に与えられる「ＴＥＤプライズ」を受賞。その後、ＪＲは世界中の誰もが自身のポートレートを撮影し、画像をＪＲのウェブサイトに送ると、巨大なポスターとなって参加者に返送されるというプロジェクト「Ｉｎｓｉｄｅ　Ｏｕｔ（インサイドアウト）」を展開。とくに、社会的差別や弾圧、貧困などで苦しむ人々を撮影し、それをその人々と一緒に街に貼るパフォーマンスを行っている。

　１２年１１月には、東北の被災地（宮城県気仙沼市から福島市まで）で、漁師や商店主、子供たちなど約４００人のポートレートを撮影し、街中に展示するアートプロジェクトを行った。さらに、そのプロジェクトのドキュメンタリーなどが２０１３年２～６月、東京でも公開された。

　ＪＲの作品の一般公開は、２月９日までという。（ＥＸ編集部／撮影：ＡＰ／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ　（動画））