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高校生躍動 日本バレエ席巻 「ローザンヌ」1、2位独占

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高校生躍動 日本バレエ席巻 「ローザンヌ」1、2位独占

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スイス・ローザンヌ  若手バレエダンサーの登竜門として知られる第42回ローザンヌ国際バレエコンクールの最終選考が2月1日、スイス西部ローザンヌで行われ、長野県松本市の松本第一高校2年、二山(にやま)治雄さん(17)が優勝した。日本人の優勝は2012年の菅井円加(まどか)さん以来で日本人男性としては1989年に最高賞の金賞を受賞した熊川(くまかわ)哲也さん(41)に匹敵する快挙となった。

 2位には横浜市の高校1年、前田紗江さん(15)、6位にはモナコ在住の加藤三希央(みきお)さん(18)=東京都出身=が選ばれ、入賞者6人のうち3人を日本人が占めた。

 二山さん「家族に感謝」

 「観客に感動してもらえるダンサーになりたい」。目を見張る体の柔らかさを発揮して、優勝した二山さん。バレエの道に進んだのは「好きな女の子がやっていたから」という素朴な理由だった。

 優勝後のインタビューでは「家族やいろいろな人の支えがあってのこと」と周囲への感謝の言葉を忘れなかった。二山さんの母、晶子(あきこ)さん(56)は「今までで一番よかった」と感動。父の正治(まさはる)さん(58)が病気で倒れ、経済的に苦しくなっても続けさせたといい、「人の心を動かすダンサーになってほしい」と涙ぐんだ。

 二山さんは4人きょうだいの末っ子。保育園で日本舞踊を習ったことで、踊りに興味を持った。小学1年のときにバレエに転向。小4から「白鳥バレエ学園」(本部・長野市)に通いだした。

 学園は1965年に設立され、約500人の生徒が通う名門。二山さんは高校に入り、「本格的にやりたい」と学園に申し出て、実家近くの松本市の支部と本部の2つの教室に週6日間通うようになった。

 学園の事務員、山口光子さんは「体の柔らかさがすごく、生徒の中で飛び抜けていた。しかも真摯(しんし)に努力する姿勢がすばらしい」と絶賛。最近はローザンヌに向けて深夜2時頃まで練習に励み、学園に泊まり込んで、学校に通うという生活だった。高校では食物科に通い、調理師免許の取得も考えているという。

 前田さん「夢のよう」

 2位となった横浜翠陵(すいりょう)高1年の前田さんは「最終審査に残っただけで夢のようだったので、まだ信じられません」と驚いた様子。担任の田原麻衣子教諭は「学校で見せる表情とは違い、りりしい顔つきで、笑顔も輝いていた」と喜んだ。

 田原教諭は昨年(2013年)6月、前田さんから「バレエダンサーの道に進みたい」と将来の希望を聞いた。姉がバレエをやっていた田原教諭はバレエの舞台を見に行くことがあり、生徒と担任の間で行う交換日記でも、前田さんと好きなダンサーや鑑賞した舞台についてやりとりしていたという。

 田原教諭によると、学校での前田さんは「シャイなかわいらしい女の子」。学業にもまじめに取り組んでおり、成績も優秀で特に数学と英語が得意だという。

 被災乗り越え6位

 6位に入賞した加藤さんは、5歳から「竹内ひとみバレエスクール」(福島市)に通い、2011年9月からモナコ王立グレースバレエ学校に留学している。スクールの主宰、佐藤茂樹さん(50)は「福島で被災してつらいこともあったと思うが、夢をかなえたことは私も大変うれしい」と話していた。

 ≪熊川さん「潜在能力開花、爽快な気分」≫

 ローザンヌ国際バレエコンクールで1898年に優勝したバレエダンサー、熊川哲也さんは2月2日、「日本人が持つポテンシャルが開花されたことを心よりうれしく思うとともに、日本が文化先進国であることが証明され、爽快な気分です」とのコメントを出し、3人を祝福した。(SANKEI EXPRESS

 ■ローザンヌ国際バレエコンクール 15~18歳を対象とした若手ダンサーの登竜門で、将来性や実力を審査する。今回は295人がDVD審査に臨み、選ばれた73人(15カ国)が参加。20人が最終選考に残り、クラシックとコンテンポラリー(現代)の作品を踊って順位を競った。3位は米国、4位はスペイン、5位はフランスのダンサーがそれぞれ入賞(6位以内)した。

 入賞者は世界の名門バレエ学校に1年間の入校が認められ、留学中の生活支援金として1万6000スイスフラン(約180万円)が贈られる。

 熊川哲也さんや吉田都(みやこ)さん、加治屋(かじや)百合子さんらを輩出している。

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