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フィギュア四大陸選手権 村上 成長と自信のV

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フィギュア四大陸選手権 村上 成長と自信のV

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自信にあふれた村上佳菜子のエキシビション=2013年1月25日、台湾・台北市(共同)  どこか頼りない印象があったのは、いつのころまでだろう。つい最近までだったようにも思う。いまの村上佳菜子(19)には、そんな懸念は全く無用だ。

 山田真知子コーチのかける声に、手は大丈夫かと心配になるほど強くリンクのフェンスを両手でたたき、力強いステップで氷上の中央に向かい、演技の開始を待つ。堂々たるジャンプ、確実なステップ、どれも申し分ない。エンディングにかけて観客席を盛り上げ、演技を終えればガッツポーズを繰り返す。各国のソチ代表の多くが参加を見送った四大陸選手権(台北)にあっては、貫禄さえにじみ出た。

 ショートプログラム(SP)でもフリーでも1位の完全優勝。合計得点では自己ベストを更新してソチ五輪へ弾みをつけた。大会直前には右足首を痛めて出場をためらい、痛み止めを飲みながらの優勝でもあった。「滑りにちょっと重みが出てきたかな」と振り返り、「表彰台の一番上に乗って、本当に気持ちよかった」と屈託のない笑顔をみせた。

 辛口の山田コーチも「大満足。自信につながる」と満点をつける完璧演技。ソチでは全日本優勝の鈴木明子(28)、絶対エースの浅田真央(23)と3姉妹の末娘の役どころだが、台北の表彰台では2位に入ったシニアデビューの15歳、宮原知子を抱きしめて迎え、選手団のお姉さん役も務めた。

 ソチに向けて練習も再開。「すごくわくわくしている。思い切り楽しんでこようと思う」と、気持ちはすでに本番に飛んでいる。

 浅田や鈴木、韓国の金妍児(キム・ヨナ)らが引退するソチ後の主役に期待がかかる村上だったが、ソチでも何か、やらかしてくれるかもしれない。

 ≪層厚い日本勢 「次」にも期待≫

 台北で行われたフィギュアスケートの四大陸選手権では、女子とともに男子もワンツーフィニッシュを成し遂げた。

 SPで4回転トーループを成功させてトップに立った22歳の無良崇人はフリーとの合計242.56点の自己ベストで優勝。日本男子の四大陸優勝は、2011年大会の高橋大輔以来だった。

 昨季(2013年)のフランス杯でグランプリシリーズ初優勝を果たしながら、五輪選考会を兼ねた昨年(2013年)12月の全日本選手権で6位に沈み、一時は引退も考えたが、4年後の韓国・平昌(ピョンチャン)五輪を次の目標に定めた。昨年(2013年)4月に結婚。このオフには挙式も予定している。

 四大陸の優勝で「いいスタートを切れた。1位になれて素直にうれしい」と、自ら最高の再始動の大会を勝ち取った。

 2位の小塚崇彦(こづか・たかひこ、24)もSPで出遅れながら、フリーの1位で巻き返し、大会後、現役続行を宣言した。全日本では高橋より順位で上回りながら、国際大会での実績でソチ五輪代表を逃した。「言いたいことはある」と言いながら愚痴はのみ込み、高橋に応援のエールを送った。4回転ジャンプの安定感なら、誰にも負けない。小塚の次、にも期待がかかる。

 女子2位の宮原は今季がシニアの初舞台。緊張からか4位のSP後に体調を崩し、食事が喉を通らない状態で迎えたフリーでハイレベルのジャンプを連発し、逆転の銀メダルを奪い取った。15歳。次の五輪もその次も望める若く小さな女王候補にとって、忘れられない大会となったろう。

 SPの3位から宮原に逆転を許して表彰台を逃した今井遥(20)もスランプを脱した。可憐な演技に台北の声援も大きく、ソチ後のエース候補がようやく戻ってきたようだ。国際大会の最終滑走で演技した自信を次につないでもらいたい。(EX編集部/撮影:共同、AP/SANKEI EXPRESS

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