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もがいている最中。でも嫌じゃない 舞台「冬眠する熊に添い寝してごらん」 上田竜也さんインタビュー

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もがいている最中。でも嫌じゃない 舞台「冬眠する熊に添い寝してごらん」 上田竜也さんインタビュー

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 ロマンチックだが、ぞっとする。そんな響きを持つタイトルだ。人間と自然との“力関係”に哲学的な問いを投げかけるような、骨太でスケールの大きな物語を、小説界の鬼才、古川日出男が書き下ろした。これを蜷川幸雄が演出し、軸となる多根彦(たねひこ)を、人気アイドルグループ「KAT-TUN」の上田竜也(30)が演じる。

 抜擢といっていいだろう。蜷川に「個性が強い、暴れ馬」と評された。当人は「最初はプレッシャーを感じなかったのに、うらやましい、とか、大変だけれど頑張りな、とか言われて、すごいことになったな、と後で気付きました(笑)。さらに稽古に入ると自分の『できなさ』を痛感…。頑張ってしがみついていかなきゃ」と熱く意気込む。

 積極的に役作り

 伝説の熊猟師の家系に生まれた、多根彦と、一(はじめ、井上芳雄)の兄弟を核にして語られる、自然(あるいは獣)と人間の物語。越後(新潟)の熊撃ち名人で、石油資源をめぐる謀略にも巻き込まれた高祖父を持つ。それから代々続く自然界との「因縁」を兄弟は背負い、一はライフル射撃のスター選手、多根彦は石油も扱う商社のエリート社員に。はじめは兄に憧れるかわいい弟だった多根彦。だが、あらがえない因縁ゆえか、後半にかけ、一と多根彦の関係は大きく揺さぶられていく。

 「みんなに愛されるかわいらしい弟キャラ。でも素直で、テンションが高くて明るい多根彦は、自分とは真逆」という。「一つのことに夢中になるとそれしか見えない、柔軟ではないタイプ」と自己分析するが、稽古場で蜷川や、共演する勝村政信らに積極的に役作りの教えを請い、良い意味で貪欲な一面を見せている。「勝村さんはつきっきりで稽古を見たあと、『こいっ』って言って、ダメなところを教えてくれます。蜷川さんも、厳しいというより丁寧に教えてくださる。ストレスがあるとすれば、言われていることを吸収しようとするけれど、うまくできない自分に対して、です」。そんなストレスが募ると、「以前は週3~5日、今は週に1、2日程度」に通うボクシングジムで放つ拳に、いっそう力がこもるという。

 俳優業への試金石

 体力勝負のバラエティー番組への出演や歌手活動など、マルチに活躍するが、俳優業に力を入れたいと事務所に伝えたことがある。「ランナウェイ(2011年)というドラマで、自分の中で何かが変わり、演技の面白さに目覚めました。影のある人物像が好みだけど、自分のイメージや好みに関係なく、いろんな役柄を演じたい」。キャラじゃないという多根彦役、2度目の舞台。まさに試金石の時だ。

 「舞台特有の発声で、わざとらしくならずに細かな心境を表現するのはやっぱり難しいし、いろいろと今はもがいている最中。でもその状態は嫌いじゃない。興味があって、引き受けたことからは逃げたくないから」

 新しい年が明け、早速ファンミーティング、舞台と大忙しだ。「(昨年は)いろんなことがあったけれど、今年はもっとKAT-TUNとして活動したい。4人でツアーや映画なんかができたらいいな」(津川綾子/SANKEI EXPRESS

 ■うえだ・たつや 1983年10月4日生まれ、神奈川県出身。2006年、KAT-TUNのメンバーとしてデビュー。ドラマに「婚カツ!」(09年)、「ランナウェイ~愛する君のために」(11年)「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(12年)など。バラエティー番組「炎の体育会TV」で抜群の運動神経を発揮している。舞台は「ロミオとジュリエット」(09年)以来2度目。映画「永遠の0」が公開中。

 【ガイド】

 2014年1月9日~2月1日 Bunkamuraシアターコクーン。Bunkamura (電)03・3477・3244。2月7~12日 森ノ宮ピロティホール。キョードーインフォメーション (電)06・7732・8888

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