東レが開発した傘用素材「サマーシールド」は太陽光を９９・９９％以上、紫外線も９９％以上カットできる。特殊なポリエステル製の生地に３層構造の加工を施した。裏地は黒で路面からの照り返しも吸収し、遮熱効果を高めた。

　洋傘メーカーのオーロラ（東京都千代田区）は今年、この素材を使用した日傘を男性用だけでも１万本を展開する。３年前に女性用を売り出したところ５千本が完売。価格は１万数千円程度するが、平成２４年には４万本を売り上げた。

　日傘は以前は刺（し）繍（しゅう）などのデザインが入った綿素材が中心だったが、猛暑となる日が増えたことで、今では遮光性の高いポリエステルが９割を占める。中でもサマーシールドの機能は際立っており、東レは「ベビーカーのルーフや帽子にも展開する」（担当者）と意気込む。

　帝人は今年２月、遮光性や遮熱性を保ちつつ軽い素材「フワクール」を開発。極細ポリエステル繊維を採用し、傘地で２０％軽量化した。洋傘メーカーのムーンバット（京都市）と共同で立ち上げた機能傘ブランド「サニーウインク」の第１弾として商品化。「遮光性だけでなく、軽さや携帯性にもこだわった」（ムーンバットの鈴木康史・洋傘事業部長）

　帝人は、生地表面の水切れ性能が高い素材「デルタＷＶ」も同時に投入。水滴が傘に残りにくく、使用後、かばんにそのまま収納できる。今年は２つの素材を使った２９種類の傘を展開し、９億円の売り上げを目指す。

　日本洋傘振興協議会によると、国内の傘の年間販売は１億３千万本程度で、半数以上が輸入品のビニール傘など。国内の傘メーカーは高機能性をアピールして安価な製品に対抗し、シェア向上を狙う。（西村利也）