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合繊メーカー、高機能繊維でランナー取り込み 滑りにくい・発汗時も快適

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合繊メーカー、高機能繊維でランナー取り込み 滑りにくい・発汗時も快適

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帝人の高機能の極細繊維ナノファイバーを利用した靴下などがランナーに人気だ  合繊メーカーが、独自の高機能繊維を使ったランナー向けの商品に注力している。ランナー人口が増加する中で、ランナー向け製品の市場拡大を見込み、工夫を凝らしたアイテムをアピールしている。

 「ソックスや靴の中敷き、靴紐(ひも)などに使われる、滑りにくさが特長の素材があります」

 髪の毛の7500分の1

 帝人のエンジニアリングファイバー部でナノフロントチームリーダーを務める拝原知英さんがこう話す。同社の高機能繊維「ナノファイバー」は、髪の毛の7500分の1に相当する0.7マイクロメートルの細さで、2008年から商業展開されている「最先端の戦略素材」。滑りにくいのは「繊維が細い分、接着面積が大きくなるのでグリップ感が強くなるため」(拝原さん)だ。

 ナノファイバーは繊維をアルカリ溶液で溶かす工程が必要なため、その分、手間がかかる。開発当初は生地にした段階で加工していたが、昨年からは糸の段階で加工を終わらせて、編み込むだけで製品加工できるようになり、商品展開が多面的にできるようになった。

 ソックスと中敷きで足の裏を強くグリップするので「走りやすい」というランナーの声も多いという。同社が直販するだけでなく、ニューバランスジャパンのランニングソックスなど、他社にも素材として採用されるなど、広がりを見せている。海外のスポーツアパレルからも引き合いがあるという。

 糸段階でナノファイバーに加工する技術は、グループ企業の帝人テクロス(愛知県稲沢市)が行っている。加工に際し、専用の機械設備を新たに1台導入し、来年度には数千万円規模をかけ複数台を導入し、新たな採用に備える。

 吸水構造素材を使用

 ランニング中に大量の汗をかいたり、汗で身体を冷やさないようにするための製品は、東レや東洋紡が注力している。

 東レは「フィールドセンサー」という主力の吸水構造素材を使ったシャツ「フィールドセンサー3D」を開発。発汗時のべとつき感を抑制し、まとわりつきにくく、速乾性にも優れたシャツとして人気も高い。

 東洋紡は優れた保温性を持ちながらムレ感を抑える高吸湿レーヨンの「サラホット」などが今年から来年にかけての秋冬シーズン向けで出される。

 ランニングをはじめとするスポーツ人口の増加による市場の拡大は、各社が高機能に的を絞った商品展開の加速につながりそうだ。

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