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「スマート」と「ジェネリック」 家電2大潮流 便利で高機能 スマホと連動

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの経済

「スマート」と「ジェネリック」 家電2大潮流 便利で高機能 スマホと連動

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無駄な機能を省いて価格を抑えた暖房器具が多く並ぶ家電量販店の売り場=2014年1月10日、東京・秋葉原(東京都千代田区)のヨドバシカメラマルチメディアAkiba(米沢文撮影)  大手電機メーカーが、スマートフォンやインターネットに接続して使う「スマート家電」を相次ぎ投入している。外出先で冷蔵庫に残っている食料品を調べたり、帰宅前にエアコンで部屋を暖めたりできるのが特長だ。

 スマート家電は2012年、パナソニックが白物家電の上位機種に投入。機能を絞った「ジェネリック家電」との価格競争に巻き込まれたくないとの思惑から、東芝など他の大手各社が追随した。

 家電のスマート化は調理器具などに拡大。ネットから天気の情報を取得して自動で運転する洗濯乾燥機なども研究されており、さらに進化しそうだ。

 掃除機からメッセージ

 東芝は13年9月から冷蔵庫や洗濯機、エアコンでスマート家電を本格的に発売。有料の会員サイトに登録すれば、洗濯の完了時にメールを受け取ったり、消費電力をスマホで確認したりできる。

 先行したパナソニックは調理器具などに対象を拡大。非接触技術「FeliCa(フェリカ)」に対応したスマホにネットから料理のレシピを取り込み調理器具にかざすと、その料理に最適な火力などを設定する。

 シャープのロボット掃除機は、スマホに独自の通信アプリを取り込むと、掃除機から「(ゴミがたまり)おなかいっぱいになったよ」などとメッセージを受け取れる。

 気象情報をネットから取得し、雨の日は自動で乾燥までする洗濯乾燥機のほか、「最新の製品に買い替えると電気代が安くなってお得ですよ」などと助言する冷蔵庫の開発も進める。

 市場 25%拡大見込み

 民間調査会社の富士キメラ総研は、17年の家電全体の国内市場規模を7兆4610億円と試算。単価の高いスマート家電の効果で12年から25%拡大すると見込む。

 ただ、生活用品大手のアイリスオーヤマ(仙台市)などが手掛けるジェネリック家電も根強い人気がある。SMBC日興証券の白石幸毅シニアアナリストは「高いお金を払うにふさわしい付加価値と便利さを提供する努力がもっと必要だ」と注文を付けた。

 ≪安くてシンプル 単身赴任者に人気≫

 「後発薬(ジェネリック)になぞらえ、機能を絞り込んだり、旧世代の技術を使ったりして価格を抑えたジェネリック家電も人気だ。主に中小・ベンチャー企業が手掛けており、4月の消費税率引き上げ後も、価格競争力の点で存在感がさらに高まりそうだ。

 旧世代の技術活用

 液晶テレビ「カンデラ」を展開するベンチャー「ディーオン」(横浜市)は、昨年(2013年)2月に発売した32型液晶テレビが約2万円という安さで話題になり、約4カ月で完売した。大手で使われなくなったシステムLSI(大規模集積回路)を活用し、開発費を抑えた。赤坂幸宣社長は「品質面での差がなくなる中、どれだけ価格を抑えられるかが勝負」と意気込む。春夏商戦に向けて、録画機能を備えた後継機も発売する計画だ。

 専門商社の山善(大阪市)の売れ筋は、センサー付きのこたつ(80センチ角で約1万3800円)とセラミックファンヒーター(約7600円)だ。いずれも海外での大量生産などにより、コストを抑えている。山善ではジェネリック家電の売上高を、2012年度の約300億円から、3~4年後に倍以上の約700億円に拡大する方針だ。

 生活用品大手のアイリスオーヤマは2口IHクッキングヒーター(参考価格2万5000円)が好調。コンセントにつなぐだけですぐに使えるのが特徴で、単身赴任者やシニア世代に人気という。

 増税後の救世主か

 増税後の販売の落ち込みを懸念する流通業界も、ジェネリック家電に目をつけ始めた。イオンはプライベートブランド(PB、自主企画)「トップバリュ」で、昨年3月に扱い始めた家電を14年度に120品目まで広げる。(SANKEI EXPRESS

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