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ジェネリック家電 機能絞り割安に

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ジェネリック家電 機能絞り割安に

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 「ジェネリック家電」と呼ばれる家電製品が人気だ。新薬の特許が切れた後に同じ成分で製造される安価なジェネリック医薬品(後発薬)になぞらえ、機能を絞り込んだり、古くなった技術を使ったりして割安な価格を実現。大手家電各社の製品のような多機能やブランドにこだわらず、実用性と安さを重視する消費者に支持されている。

 「これで十分」

 「パンや餅を焼くだけなら機能が単純な方がかえって便利。高齢者や1人暮らしにはこれで十分です」。家電量販店のコジマ成城店(東京都世田谷区)を訪れていた60代の主婦は、数千円のオーブントースターを手に納得した表情を見せた。

 手作りパンもできるといった多機能を売りに1万円を超える機種もある中、機能を最低限にとどめて手頃な価格にしたジェネリック家電だ。店内には、同様に価格を抑えた電気ストーブやホットカーペットなども並ぶ。

 幅広い品ぞろえ

 ジェネリック家電の代表的なメーカーである山善(大阪市)は電気ストーブやこたつ、扇風機といった季節家電をはじめ、電子レンジや掃除機、照明器具と幅広く取りそろえている。価格は安いもので数千円だ。

 販売は好調で2012年度の家電事業の売上高は280億円。広報担当者は「ブランド品を買い余計な機能が無駄になった経験を持つ人は多い。お買い得感を出すため機能を絞って開発している」と話す。

 メーカーから製品を仕入れ、小売業者に卸す商社として成長してきた山善は1980年代、ホームセンターの台頭とともに卸商品の品ぞろえを拡充。その際「販売現場の要望に沿って製品開発ができる柔軟性を武器に、大手家電メーカーにはないプライベートブランド(PB)商品として生まれたのがジェネリック家電の始まり」(広報担当者)という。

 「枯れた技術」活用

 液晶テレビ専門のベンチャー企業「ディーオン」(横浜市)は、機能を限定しながら品質も維持した格安ブランド「カンデラ」を展開している。32型の「AGS32HZ2」は今年(2013年)2月の発売から約4カ月で完売した。

 パネルには発光ダイオード(LED)バックライトを使い、ハイビジョン画像を楽しめる。録画機能を省いてリモコンも簡略化。価格は2万円前後と破格の安さだ。

 赤坂幸宣社長は「テレビの心臓部であるLSIに1世代前のタイプを使用し、基板は大手メーカーと共同開発するなどして開発費を抑えた。“枯れた技術”を活用した本当の意味でのジェネリック家電」と自信を示す。今後は割安を維持しながら、録画機能なども備えた新タイプを投入する予定という。

 イオンもPB家電を14年度に120品目まで拡大する計画。新機能や多機能をアピールし、高価格でも買ってもらえる製品開発にしのぎを削る大手メーカーを横目に、ジェネリック家電市場は一段と広がりそうだ。(SANKEI EXPRESS

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