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「アウトランダーPHEV」何が起きたのか 電池内部が変形…会見詳報
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三菱自動車が1月に発売したプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」 3月下旬、三菱自動車のプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」のリチウムイオン電池に異常が見つかった。これまでの調査では、検査工程で過度の衝撃がかかったことで、電池のセル内部に変形が起こったことが確認された。
電池は、GSユアサ(京都市)などと共同で設立した電池部品会社「リチウムエナジージャパン」(滋賀県栗東市)製。従業員がセルを異物混入検査の機械に乗せるときに想定以上の大きな衝撃を加えたため、セルの正極に変形が認められたという。
しかし、電池がショートしたり溶けたりしたこととの因果関係は分かっていないという。同社は4月末まで調査を続けて原因を究明する方針。「アウトランダーPHEV」に何があったのか-。10日に行われた記者会見を一問一答形式で詳報する。主なやりとりは次の通り。
中尾常務「この2週間で、リチウムエナジージャパン、GSユアサとの合同チームで、バッテリーの製造工程におけるすべての変化点の洗い出しをした。それに基づき、1200個以上のセルを試作し、確認試験を行った。この試験結果から、セルの製造及び組み立て行程の中にあるスクリーニング工程という検査工程で、過度な衝撃が加わったケースがあると判明した。衝撃でセルの内部の部品の一部が変形をきたしている。アウトランダーPHEVの不具合が出た2件は、この不具合車両でも、このような変形認められる。検査行程が不具合の要因のひとつと考えている。ただ、溶損までは特定できていない。これは、今まで今回のアウトランダーのセル37万個のうち、3個が内部短絡という状況。イレギュラーな状況が重なっているのではないか。スクリーニング行程以外にイレギュラーな工程があるのではないか、ということでイレギュラーな状況が起こった場合、どうなるかの再現試験を計画している。この再現試験で最終的な原因特定をしたい。特定できた時点で速やかに報告するのでもう少しお時間頂きたい。アウトランダーPHEVを購入頂いたお客さまと関係者の方々には、非常にご迷惑をおかけして本当に申し訳ございません。改めてお詫びします」
「中身はまだ報告できる段階になく、公表は差し控えたい。正極の一部の部品」
「37万個で3個というレアな確率となっているので、なんとか4月中にはめどをつけたいと思っている。お約束はできないが極力早く原因を究明したい」
「検査工程は異物が万が一入った場合、それを検出する工程を設けている。セルの向きをかえて振動かけたりする。機械に置くときに、その時に過大な衝撃が加わった場合がある。現時点では3件以外出ていない」
「外観上は変わらないが、内部に若干の変形が出ている」
「セットする際の人の問題が考えられている。機械自体の設定は詳細をサプライヤーのみなさんと洗い出しをしている」
「そういうことです」
「今お客様にお願いしていることは、原因がはっきりするまで、継続する。業績はそれに対して答えることはできない。出荷停止も継続している」
「全工程を洗い出し、作業の状況を確認し、その中で、この部分の衝撃をもう一度測定したところ、そういうことが判明した。
「半自動機という機械にかけるときに、ちょっと落下させたというか、そういった内容。詳細をもう少し見極めた上で、再現実験をやっていきたい」
「スクリーニング工程で何をやってるかというと、セルの向きを変えて振動をかけることで、異物があったら検出して不具合として除外していく。異物に対する予防措置」
「セットするときに落としたとか、ある高さから落としたことがあったと聞いている」
「現在は充電を控えていただいている。バッテリーチャージモードの使用を控えるようすべてのお客様とコンタクトを取った。こういう状況だが、(販売店に)申し込みに来られるお客さまがいるのは事実。そのときは、当分納車できないと回答している。それでも、生産が再開されたらほしいというお客さまもいる。原因究明できて、生産が再開されたときに再度お客さまに連絡し、購入の意思があるか再度確認する」
「異物混入については前回、その可能性はあると申し上げた。可能性はゼロではない。スクリーニングと何の組合わせかはまだ解明されておらず、最終実験でそこは明確にする」
大道正夫常務執行役員「リコールは原因がはっきりしないので、現時点で議論するような段階ではない」
「原因が特定できた段階でそれを修正するのにどのくらい期間がかかるのか。修正した後に新たなセルが完成して車載するのにどのくらいかかるのか。現時点では申し上げられない」